第15話「オールコックと愛犬トビー~村人の懇ろな弔いに感激~」
あたみ歴史こぼれ話(本編)
 
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あたみ歴史こぼれ話―本編の後に
このコーナーでは、「あたみ歴史こぼれ話」で
掲載しきれなかったことを中心にご紹介します。
本編を読み進んだ後に、ご覧ください。
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【オールコックから見た熱海】
 村人たちの愛犬への丁重な埋葬に感激したオールコックですが、初めて訪れた
 当時の熱海の様子については、彼が著した『大君の都』(訳:山口光朔)に
 詳しく書かれています。
 最初に、「この閑静な温泉場でわれわれが送った生活は、単調そのものであった
 ―そこでのできごとは、早飛脚が到着したことと、いつもわたしの忠実な友で
 あった愛犬のスコッチ・テリアが死んだことだけだ。」と延べ、
 「熱海温泉は、居住地としては快適なところではない。(中略)おもしろいことも
 なければ仕事もない」とも記しています。
 オールコックが観察した住民の生活などについて、具体的にいくつか紹介しましょう。
  
  住民の生活について・・・
  「約一四〇〇人の農漁民が住んでいる。かれらは田畑にコメやキビ類や若干の
   野菜を栽培している。湾からは魚がとれる。」
  お店や産業について・・・
  「若干の店があって、一部の日常必需品や住民たちのひじょうに簡素な生活様式に
   のみ必要とされるわずかな品物を売っている。製品は紙、いろいろと工夫された箱、
   茶わん、大皿、盆、それにこの地方の丘陵にはえているクスノキやマツ材を彩色して
   つくる江戸その他の市場向けの玩具ぐらいなものである。」
  温泉(鉱泉)について・・・
  「かなり広範囲に分布していて、泉源のある場所はあちこちから湯がぶくぶくと
   ほとばしり出ている。これらの泉源の一部の近くには、泉源に接続して蒸気を
   発生せしめるように若干の石がおいてある。ここでは、燃料を費やすことなしに
   茶をわかしたり野菜を料理したりすることができる。(中略)鉱泉水は全部同じ
   ―少量の硫黄がまじっている含塩水―であるように思われた。それはほんの
   すこしだけ緩下剤の効能を有し、原住民たちのあいだではリウマチや皮膚病や眼病に
   きくと考えられている。だがかれらは、わたしがやってくるまでは、けっして
   その鉱泉水を飲まなかったし、その蒸気を蒸し風呂に利用したこともなかった。」
  住民について・・・
  「小売り商人のうちの数名は役人であるとともに、旅館や浴場の経営者でもあった。
   ひじょうな専制や圧政があるのかも知れないが、住民からはそのような印象を
   うけない。すくなくとも苛酷な税金のとり立てや赤貧に苦しんでいるようには
   見えない。もちろん、小さな漁村は貧乏そのもので、とても人びとが住める場所だとは
   思えない。」
 
(出典:『熱海市史』※『大君の都』原著掲載のもの)
 
(出典:『熱海市史』※『大君の都』原著掲載のもの)
 
(出典:『熱海市史』※『大君の都』原著掲載のもの)
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