第10話「湯河原、熱海にもあった二・二六事件」

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ページ番号1009103  更新日 令和2年7月28日

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あたみ歴史こぼれ話(本編)

「あたみ歴史こぼれ話」第10話の画像
「あたみ歴史こぼれ話」第10話(令和2年(2020年)2月号掲載)

※広報あたみの原本をご覧になりたい場合は、
以下のリンク先からご覧ください。

あたみ歴史こぼれ話―本編の後に

このコーナーでは、「あたみ歴史こぼれ話」で
掲載しきれなかったことを中心にご紹介します。
本編を読み進んだ後に、ご覧ください。

※このページで掲載されている画像は、閲覧のみ可能といたします。
 画像の保存、複製及び使用は禁止といたしますのでご遠慮ください。

【九死に一生を得た牧野伸顕前内大臣】

 この二・二六事件で、牧野伸顕前内大臣を殺害したと思った河野大尉でしたが、
 実は牧野前内大臣は、地元消防団員であった伊藤屋旅館主人 岩本亀三氏によって
 救い出された後、裏山に無事に避難し九死に一生を得ていたのでした。

 昭和46年の東海民報では、岩本氏が語った当時の緊迫した状況が克明に
 書かれていますが、このページでは、その概要をご紹介します。

 「亀三氏は早立ちの泊り客を送り出した後、ふと気が付くと伊藤屋の離れ別荘から
  出火、その火明かりが雪に映し出されているのを見つけました。火事を知らせる
  半鐘を打つために権現橋を渡って半鐘ヤグラに駆け上るとその途中、軍刀を片手の
  武装の将校がスッと姿を現わし、「止まれ!」とストップをかけられました。

  半鐘を鳴らそうとする亀三氏とそれを妨害する将校との睨み合いが続いたとき、
  屋内の火災の炎の中から地獄の底から救いを求めるような女性の悲鳴が暁闇の
  屋外に聞こえてきたため、亀三氏は別荘の裏側めがけ駆け出しました。

  玄関口は火の海であり、さらに河野大尉が軍刀をひっ下げて仁王立ちして
  いたので、兵が照準しているとは知らずとっさに裏口に走ったのでした。

  長身の亀三氏には、塀の外側から別荘の裏口が十分に覗けました。
  ふと立ち止まると火炎の焔に映し出されて、女性の着物を頭からスッポリかぶった
  老人と二人の女性が別荘の勝手口と塀の間の二メートル半くらいの雪の中を
  黒い塊となって塀に近づくのを見つけました。

  亀三氏は助けられると確信し、塀の外から老人の脇の下に手に入れて引き上げ
  ようと塀の台石を足場に体を伸ばして牧野前内大臣の体を半分ほど引き上げた途端、
  後方から兵の小銃弾を左脛下に受けました。瞬間「やられた」と大声上げて塀の
  外側に倒れましたが、亀三氏は前内大臣を引き上げる手を放しませんでした。
  またこの地点が傾斜していたので、亀三氏と前内大臣の体が一体となって二転、
  三転し雪の地上に転げ落ちました。
  暗闇であったので兵の目には亀三氏と前内大臣の体が一体に見え、斜面に転がり
  落ちたので完全に射殺したと誤認したのでしょう。」
 (参考:「東海民報」昭和46年5月11日・12日号)


【二・二六事件の舞台となった湯河原「光風荘」】

 広報あたみ2月号では、河野壽大尉の自決場所を示す石碑をご紹介しましたが、
 このページでは、実際に河野大尉が牧野伸顕前内大臣を襲撃した舞台、
 「光風荘」についてご紹介します。

 湯河原町万葉公園のそばにある「光風荘」は、焼き討ちされた翌年に再建されて、
 現在は当時の事件を知ることができる資料館となっています。

 この資料館には、河野大尉自決の際に実際に使われた果物ナイフや、河野大尉の弟が
 兄に自決を促した手紙(現物)のほか、二・二六事件を報じた新聞、犠牲となった
 大臣や警察官の写真などが展示されています。

 ※詳しくは、以下のリンク先(湯河原町ホームページ「光風荘」の紹介ページ)を
  ご覧ください。

道路から撮影した光風荘の写真
道路から撮影した「光風荘」(提供:湯河原町観光協会)
光風荘正面の写真
「光風荘」正面からの写真(提供:湯河原町観光協会)
昭和11年当時の光風荘の付近図の画像
昭和11年当時の「光風荘」付近図。
二・二六事件に携わった達の動きがわかります。
※「光風荘」から伊藤屋・藤田屋旅館へ向かう方角が
おおよそ北となります。(提供:湯河原町観光協会)
旧光風荘の間取り図の画像
旧「光風荘」の間取り図(焼失前)
上段の「光風荘付近図」とおおよそ同じ方角です。
(提供:湯河原町観光協会)

このページに関するお問い合わせ

教育委員会 生涯学習課 網代公民館 歴史資料管理室
〒413-8550 熱海市中央町1-1
電話:0557-48-7100ファクス:0557-48-7100
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。