【彫刻】木造役行者倚像

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ページ番号1017167  更新日 令和7年5月20日

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木造役行者倚像

よみ:もくぞうえんのぎょうじゃいぞう

種別:彫刻

指定日:平成17年(2005)8月31日

員数:1躯

所在地:伊豆山708-1

所有者・管理団体:伊豆山神社

解説

〈時代〉文明15年(1484)

〈法量〉像高118.1cm(岩窟高145.2cm)

〈形状〉顔は顎鬚をたくわえた老貌で、両目を見開き、上歯と舌を表し、開口する。衣服は肩まで懸かる長頭巾を被り、内衣の上に法衣を着け袈裟を懸け、両肩から腰下まで垂れた蓑を背負う。短袴で膝下から素足を表し、高下駄(後補)をはいて岩窟座(後補)に倚坐する。

〈品質・構造〉榧材・寄木造・一部布張りあり・玉眼嵌入 体幹部は竪に11材を矧ぎ寄せる。顔面1材、頭部両側各2材、両袖各1材、両手は手先と手首、各2材づつを別材矧ぎ寄せ。両大腿部は横一材で作り、像底から内刳り、体部の矧ぎ面は中央のみ束状に残し貫通させる。左右の脚部は膝から踵までを竪にそれぞれ一材で彫出し、大腿部にほぞ止めとする。腰、両膝間に小材を適宜矧ぎ寄せ衣を彫出する。足先を別材で矧ぎ寄せ足裏にちきりを通わせる。長頭巾頂上部、鬚、両手、腰両脇の衣の一部、左足先、高下駄、持物(錫杖、経巻)、岩窟座、框座は後補。

 伊豆山神社の末社の足立権現(あしだてごんげん)として信仰される、修験道の開祖、役行者の像である。足立権現は運命開拓の神として、又、古くから足の病に悩む者、足腰弱き祈願を致さば必ず神護を享けて強足になると信仰されている。例祭日7月1日。

 長頭巾に袈裟を身に着け、高下駄を履いた鬚のある痩せた老人の倚像は役行者像として一般的な姿である。体幹部中央材内矧背面側の墨書銘にある文明15年(1484)が本像の造立年代と考えられ、棟札、墨書から貞享4年(1688)、延享5年(1749)、文化9年(1813)の修理が確認される。県内の役行者像は富士宮市の村山浅間神社に伝わる慶長13年(1608)銘などが知られるが、本像は伊豆山神社に伝わる貴重な伊豆修験関連の遺品のひとつであり、県内にも稀有な中世に遡る役行者像として熱海市の彫刻史上高い価値を有すものである。

  引用・参考文献:熱海市史編纂委員会1967『熱海市史』上巻

          大阪市立美術館1999『役行者と修験道の世界~山岳信仰の秘宝~』

          吉備文化財修復所1999『伊豆山神社蔵木造役行者倚像修理報告書』

このページに関するお問い合わせ

教育委員会 生涯学習課 文化交流室(施設担当)
〒413-8550 熱海市中央町1-1
電話:0557-86-6232 ファクス:0557-86-6606
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。