令和8年2月市議会定例会市長施政方針

2月19日に行われました令和8年2月市議会定例会において、市長が施政方針を述べました。
1.はじめに
令和8年2月市議会定例会が開催されるにあたり、私の市政運営についての所信を述べさせていただくとともに、令和8年度の施策の概要を申し上げ、議員各位、並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきますよう、お願い申し上げます。
伊豆山被災地域における道路・河川整備事業の完成と 「温泉リゾート熱海」に向けてスタートする年
昨今、国内外の情勢は急速に変化しており、国内の政治情勢においては新たな局面を迎えています。高市内閣は責任ある積極財政への転換を掲げ、これまでの行き過ぎた緊縮志向、未来への投資不足の流れを終わらせるとし、危機管理投資や成長投資、地域未来戦略などを政権公約としています。これを受け、地方自治体においては、防災・減災、地域経済、子育て・福祉などの分野で、制度及び財政措置の動向を的確に捉えた対応が求められています。
加えて、国際情勢が不安定化する中、経済や社会への影響を見据えた柔軟かつ迅速な施策の実行が、ますます重要になってきていることは言うまでもありません。特に、観光業が基幹産業である熱海市においては、経済動向や観光需要の変化により、大きな影響を受ける可能性があります。近年、物価・エネルギー価格の変動や国際情勢の変化が続く中、旅行需要や観光客の動向は先行きが見通しにくく、地域経済の活性化に向けた課題も一層複雑化しています。このような状況においても、変化を的確に捉えながら柔軟かつ着実に対応してまいります。
昨年を振り返りますと、まず最優先課題である伊豆山土石流災害の復旧・復興に向けて、着実に進展を見せる一年となりました。
特に、消防団第4分団詰所や(仮称)伊豆山地区コミュニティ防災センターの建設工事、JR周辺の河川・道路工事に着手するなど、復興に向けた基盤整備が着実に進んでいることは、地域の皆様にとって大きな希望となったことと思います。引き続き、各種事業にしっかりと取り組み、伊豆山被災地域の復旧・復興事業の完成を目指します。
また、観光施策の新たな体制として、一般財団法人熱海観光局を設立し、観光振興と地域経済の活性化に向けた新たな施策に取り組んできました。熱海観光局の設立に当たっては、私が4期目の公約として掲げた宿泊税を主な財源として、制度設計から条例制定に至るまで、熱海市ホテル旅館協同組合連合会をはじめとする市内関係団体の皆様の深いご理解とご協力をいただいたことで、官民が力を合わせた新たな枠組みとして生まれました。本格的に始動した熱海観光局とともに、地域経済の再生と観光産業の発展に向けた取組を加速させ、引き続き、旅行需要の平準化、観光消費の拡大と地域経済波及効果の増加、観光と市民生活の調和などに取り組み、熱海の魅力を発信するとともに、観光地としての競争力をさらに高めてまいります。熱海観光局の設立は、次の100年先を見据えた「温泉リゾート熱海」の実現に向けた大きな一歩であると確信しています。
加えて、子育て、高齢者、教育、福祉、環境に関する取組を一層推進し、住民福祉の向上を図ってまいります。特に、市民満足度の向上に重点を置き、すべての世代が安心して暮らせる社会の実現に向けた施策を展開します。
令和8年度は最優先課題である伊豆山被災地域の復旧・復興に向け、着実に事業を推進してまいります。また、重点施策である「観光・経済の活性化」、「教育・福祉の充実」、「仕事・くらしの変革」を進めるためには、市民一人ひとりのご理解とご協力が欠かせません。私は、引き続き「熱海2030ビジョン」の理念のもと、中長期的な視点をもって施策を着実に実行してまいります。
改めまして、市民、産業界、そして議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。
2.令和8年度の重点施策
(1) 伊豆山被災地域の復旧・復興
伊豆山被災地域の復旧・復興に関しましては、昨年3月からJR上流部の暗渠区間の河川工事に、今年1月からJR下流側の河川工事に着手し、市道引地堀坂支線から国道135号まで、全面的に工事に入りました。引き続き工事を進め、令和9年3月の道路・河川整備事業の完成を目指してまいります。
1. 復興まちづくり計画の推進
復興まちづくり計画の推進につきましては、「伊豆山復興基本計画」、「伊豆山復興まちづくり計画」、及び「伊豆山復興事業計画」に基づき、道路・河川の整備、宅地復旧の促進、公園や緑道などの整備を進め、着実に事業を推進してまいります。
また、復興の進捗管理につきましては、「熱海市伊豆山復興まちづくり推進懇話会」において意見を伺うなど、PDCAサイクルに基づき検証、見直し、改善を図ってまいります。
2.逢初川沿い市道及び農地の再整備等
被災地の市道の整備につきましては、市道伊豆山神社線からの取付け道路の整備に、昨年7月から着手しております。また、逢初川沿いの市道につきましても、静岡県が行う逢初川改修事業と連携しながら、事業を進めてまいります。事業を進めるにあたりましては、昨年に引き続き、地区別説明会や意見交換会等を開催し、被災者の方々の意見を丁寧に伺いながら、整備を進めてまいります。
また、被災した農地につきましても、「熱海市被災農地復旧事業補助金」制度により、復旧を促進し、農業の維持及び安定を図ってまいります。
3.被災者見守り・相談支援・被災者生活再建支援策の継続
避難生活を継続されている被災者の方々が、伊豆山に帰還し生活再建に進んでいただけるよう、住居支援や引越しに係る費用の支援、住宅の新築、購入、補修に係る借入れに対する利子助成など必要な生活再建支援や見守り、相談支援を継続してまいります。
また、「いずさんっち」の地域交流拠点としての機能は、(仮称)伊豆山地区コミュニティ防災センターなどを活用し、引き続き、伊豆山に帰還された方、地域住民や町内会、民生委員児童委員協議会などの皆様とともに、地域づくりを進めてまいります。
(2)熱海躍進に向けた「熱海2030ビジョン」の推進
「熱海2030ビジョン」は、人口減少社会であっても、経済の持続的発展と豊かな市民の暮らしを実現できる温泉観光地熱海を目指すための指針です。令和8年度は、宿泊税を主な財源に本格稼働する熱海観光局と連携し、旅行需要の平準化、観光消費の拡大と地域経済波及効果の増加、観光と市民生活の調和などを柱に取組を進めてまいります。
併せて、まちづくり条例の見直しや熱海港湾エリアのまちづくり計画の検討など、熱海の魅力と稼ぐ力を高める基盤整備を推進してまいります。
1.観光・経済の活性化
令和8年以降の宿泊客数は、入湯税ベースで約325万人、宿泊税ベースで約350万人程度で頭打ちになる可能性があり、量的拡大には一定の制約があると見込まれます。一方、本市の人口ビジョンでは2030年に最大約3,000人の人口減少が予測され、その市内経済への影響は年間約17.7億円と試算されます。
この影響を観光で補うには、年間約62,000人の宿泊客の純増が必要となりますが、慢性的な人材不足を踏まえると、繁忙期・週末偏重から閑散期・平日への需要平準化が不可欠です。
月別需要では、8月と10月から12月にかけてが課題であり、8月はファミリー層及びインバウンドが、10月から12月にかけてはビジネス利用の強化が鍵であると考えます。曜日別では、土曜日に比べ平日の需要が半分程度であり、土・日曜日では降雨時に宿泊人員が減少する傾向があります。このため、旅行商品の内容や提供方法を柔軟に見直すとともに、雨天時や近年の酷暑など、気象条件に左右されにくい施設・コンテンツの整備が求められます。さらに宿泊単価の上昇に伴い、従来の一律な誘客からターゲットの細分化・再構築が必要とされます。
このような中、本市の観光行政は、令和7年4月からの宿泊税の導入と一般財団法人熱海観光局の本格稼働という大きな変革により、新たな挑戦が始まっています。令和8年度は、この熱海観光局による予算編成初年度となる取組を支援し、連携して実施してまいります。
熱海観光局では、熱海市観光基本計画の基本理念である「変化しつづける温泉リゾート熱海」を目指し、「愛され選ばれる熱海へ。観光の力で未来をつくる」との目標を掲げ、4本の柱に基づき観光振興施策を推進します。
1つ目は、「旅行需要の平準化」です。閑散期や平日の需要を喚起するため、市民向けプレミアム宿泊券の実施や「熱海版GoToトラベル」等のキャンペーン展開を検討してまいります。また、平日のビジネス利用を促進するとともに、台湾、タイ、アメリカ等への展示会出展や在日欧米人向けプロモーションを強化し、インバウンド需要の更なる取り込みを図ります。
2つ目は、「観光消費の拡大と地域経済波及効果の増加」です。熱海市の「花火の街」としてのブランディングを深化させ、花火大会の高付加価値化や夜のライトアップ、浴衣での街歩き施策等により、夜間の賑わいと市内飲食店等の利用促進を図ります。併せて、歴史・文化・アウトドア等の豊かな地域資源を活かした商品化を推進し、経済波及効果の増加を目指します。
3つ目は、「観光と市民生活の調和」です。誰もが安心して観光を楽しめるユニバーサルツーリズムを推進し、モビリティの活用や情報の見える化を図ります。併せて、南熱海エリアのグランドデザイン策定や市民向けエコイベントの実施を通じ、市民生活と観光が調和するまちづくりを推進します。
4つ目は、「推進体制の整備」です。客観的データに基づく戦略立案のため、AIダッシュボードの運用や顧客動向調査を通じたマーケティングデータの収集・分析を強化し、推進体制の整備を継続してまいります。
近年の開発事業につきましては、宿泊施設建設への民間投資が活発化しています。今後も更なる民間投資が想定されることから、今般のまちづくりに関する社会情勢等の変化に的確に対応するため、「熱海市まちづくり条例」の見直しを進めてまいります。
熱海港湾エリアの整備につきましては、現在、護岸整備工事が進められている「渚第4工区」陸上部の利活用について、引き続き検討を進めるとともに、ターミナル周辺から和田浜地区の観光港施設用地なども含めたエリアの計画策定を進めてまいります。
2.教育・福祉の充実
教育活動の一環として、すべての児童に等しく安定した学校給食を提供するため、国は、令和8年度から公立小学校の給食費の無償化を実施します。その取組に上乗せする市独自の取組として、中学校の給食費を無償化し、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るとともに、栄養バランスの取れた食事の提供、地元食材を活かした給食の提供を通じて、本市の食育としての学校給食を進めてまいります。
また、就学前の児童につきましては、これまで国の幼児教育・保育の無償化対象として3歳以上の子どもに対し、副食費無償化が行われていましたが、令和8年度からは同じく市独自に主食費も無償化することにより、就学前から義務教育課程までの切れ目ない給食費の完全無償化を実現します。
子どもたちが安全で安心して就学前教育を受けられる環境を構築するため、南熱海地区の公立就学前教育施設である和田木保育園と多賀幼稚園の整理統合を進めてまいります。そして新たに、幼保連携型認定こども園「(仮称)南あたみこども園」として令和10年4月の開設を目指し、令和8年度から2か年事業として、現多賀幼稚園園地に新園舎の建設を進めていきます。工事期間中は、保護者の皆さま、地域の皆さまにご不便をお掛けしますが、地域の宝である子どもたちのため、ご理解とご協力をお願いいたします。
近年の気候変動を踏まえ、学校環境の向上や防災対応機能を強化していく視点から、特に避難所として利用する学校体育館においては、国の「空調設備整備臨時特例交付金」を活用した空調設備の設置を順次進めてまいります。令和8年度は、熱海中学校体育館への空調設備設置工事を進めながら、多賀中学校体育館への空調設備設置に係る設計業務を実施してまいります。
高齢者施策につきましては、これまで熱海発展の礎を築いてこられた方々や熱海を選択し移住された高齢者の方々の外出や交流を促すことにより、さらなる生活満足度を向上させていく、また相乗効果として介護予防・フレイル予防を進める取組として、外出機会の創出を目的に「いきいきポイント事業」を展開してまいります。活発な外出と人との交流を促進するとともに、人材の減少が著しく、地域活動に支障が生じている町内会活動等について、その担い手として参加し易くなる仕組みを構築し、高齢者が相互に支えあう地域福祉の向上に努めてまいります。また、外出経費の負担軽減と行動目的を持っての外出による生活の質の向上を図ることを目的に、毎月、特定の日を設け、市内路線バス全区間を無料乗り放題とする「いきいき外出支援事業」について、本年10月の実施に向け関係する企業との協議及び準備を進めてまいります。
併せて、晩年の生活における安心感を醸成し、提供する取組として、現行の「終活あんしんサポート事業」について、火葬埋葬手続きのほか、家財処分やアパートなどの退去手続きなどを追加し、拡充してまいります。
3.仕事・くらしの変革
市民窓口における利便性向上や混雑緩和、業務の負担軽減を図るため、令和7年12月末時点で保有率約78%となっているマイナンバーカードを基盤とする窓口DX施策を推進してまいります。
具体的には、マイナンバーカードを利用して住民異動届など申請書の自動作成と本人確認が同時にできる「書かない窓口システム」、タブレットの操作により各種証明書の窓口交付が簡単に受けられる「らくらく窓口証明書交付サービス」の導入等を行ってまいります。
住宅政策につきましては、本市の住宅特性として、リゾートとしての利用や、首都圏へのアクセスの良さから二地域居住などの住まい方ができるといった特徴がある一方、単身世帯や子育て世帯の住まいが不足しているなどの課題があることから、多様な住まい方ができるまちの実現に向け、本市特有の住宅事情やエリアごとの特性に応じた住宅政策を進めるため、令和8年度は、本市の住宅や人口動態などに関する基礎データを分析し、まちなか居住を推進するための具体的な施策の検討を行ってまいります。
旧網代小学校の利活用を通じた「ふるさと創生事業」につきましては、地域未来交付金を活用し、旧網代小学校を網代地区のハブ機能を担う拠点として、まちづくり会社を中心に、地域住民と域外からの人的資源との連携を図り、地域資源を活用した交流促進事業を展開することで、持続可能な地域活性化を目指します。
また、熱海地区、及び伊豆山地区のエリアリノベーションまちづくり事業として、エリアリノベーション会議の開催を通じ、地域住民や専門家が連携したリノベーションまちづくりの方向性を議論し、起業・創業に繋げてまいります。
3.各部門の主要施策
続きまして、令和8年度の主要施策について、部門毎に説明申し上げます。
(1) 経営企画部門
まず、経営企画部門についてです。
公共資産の維持管理、更新等につきましては、「熱海市公共施設総合管理計画」及び「熱海市公共施設個別施設アクションプラン(第2期)」に基づき、引き続き公共施設マネジメントを推進してまいります。
また、令和8年度は、老朽化した第2庁舎等庁舎及び市役所敷地内のその他の公共施設並びに(仮称)熱海フォーラムや図書館を含めた庁舎再編等に向けた基礎調査を行います。
人事管理につきましては、職員が本来の力を発揮できるよう、心身の健康を何より重視し、安心して働ける職場環境づくりを進めてまいります。その一環として、経済産業省が創設し、日本健康会議が認定する「健康経営優良法人」の取得を目指し、健康経営の取組を着実に進めてまいります。
併せて、本市の将来を担う職員の確保に向け、引き続き働く魅力を発信し、意欲と資質を備えた人材の採用に努めてまいります。
また、伊豆山被災地域の復旧・復興につきましては、静岡県から技術職員の協力を仰ぎ、令和8年度内の道路・河川整備事業の完成を目指して着実に進めてまいります。職員派遣にご協力をいただいております静岡県に対し、改めて感謝の意を表します。
別府市との姉妹都市提携60周年を迎える令和8年度は、この節目を契機として、交流をさらに深めてまいります。両市は、ともに温泉観光都市として歩みを重ね、先人のご尽力により、半世紀を超える友好の絆を育んでまいりました。令和8年度は別府市から市民訪問団をお迎えし、記念行事等を通じて相互理解を一層促進するとともに、観光振興策の現状や課題を共有し、共通課題の解決に向けた連携を進めてまいります。改めて、これまで交流を支えてこられた関係者の皆様に深く感謝申し上げ、今後とも両市の貴重なご縁を大切に守り、次世代へつないでまいります。
そして令和9年は、昭和12年の市制施行から数えて、90年の節目の年を迎えます。市制施行90周年に、多くの市民が参加して郷土愛を醸成する記念事業が全市で行われるよう、令和8年度は市民の皆様と実施事業などの検討を進めてまいります。
市役所の組織・機構につきましては、第五次熱海市総合計画後期基本計画の推進体制を整備していくため、令和9年度の見直しに向けて検討してまいります。
自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)につきましては、政府が進める地方自治体情報システムの標準化・共通化に向けた標準準拠システムへの移行が最終年度に入ることから、引き続き市民生活に影響を与えることなく、円滑かつ安全な移行に取り組んでまいります。
(2) 市民生活部門
次に、市民生活部門についてです。
令和6年8月より使用を休止している火葬場につきましては、本年3月下旬の完了に向け、施設・設備等の復旧工事が順調に進捗しております。
工事完了後は、速やかに開設準備を進め、4月早期の火葬業務再開を目指してまいります。
国民健康保険につきましては、「子ども・子育て支援納付金制度」の創設に伴い、加入世帯の18歳以上の被保険者に対する課税額に「子ども・子育て支援金分」を加え、将来を担う子どもたちや子育て世帯を全世代・全経済主体で支援してまいります。
消費生活につきましては、相談件数の増加に鑑み、相談体制の充実を図るため、令和8年4月から「熱海市消費生活センター」を設置し、対応の強化に努めてまいります。
市民協働の地域づくりにつきましては、その中核となる町内会への支援として、令和6年度から開始した町内会管理のLED防犯灯の設置、修繕などに対する費用及び防犯灯電気料の補助、さらに地区集会所設置費等補助金についても対象の拡大等、内容の充実を図ってまいります。
多文化共生につきましては、令和7年度に実施した「多文化共生基礎調査」による現状把握を行い、多文化共生推進懇話会において課題と対策について意見を伺いながら、「多文化共生アクションプラン」を策定するとともに、初期日本語レベルの外国人住民が生活に必要な最低限の日本語に触れ、地域の住民がサポーターとして関わることにより相互理解を深めていく「静岡県モデル事業の日本語教室」を実施してまいります。
また、令和8年度はイタリア・サンレモ市との姉妹都市締結50周年を迎えることから、記念事業等を実施し、国際交流と多文化共生を深めてまいります。
環境政策につきましては、令和7年に策定した「熱海市脱炭素ロードマップ」に基づく効果的な取組を優先的に推進するとともに、より実効性のある環境施策を進めるため、「第3次熱海市環境基本計画」の中間見直しを行ってまいります。
脱炭素の主な取組といたしまして、可燃ごみの削減、紙の分別・再資源化による循環型社会の形成を目指し、本年4月より「ミックスペーパー回収事業」を市内全域で実施いたします。また、再生可能エネルギー利用促進のため、公共施設太陽光発電設備導入調査結果を踏まえ、公共施設への太陽光発電設備の設置に関するコスト効率や最適な手法などについて協議、検討してまいります。
供用開始から28年目を迎えるエコ・プラント姫の沢につきましては、施設の老朽化が進んでいることから新施設の検討が必要です。安定的かつ効率的な廃棄物処理を持続可能なものとするため、引き続き、熱海市、三島市、裾野市、長泉町、函南町との3市2町による広域一般廃棄物処理施設建設候補地の選定、及び広域化の枠組み決定に向け、協議、検討を進めてまいります。
令和7年度から開始した宿泊税につきましては、納税義務者である宿泊者に対し観光資源の魅力向上及び旅行者の受入環境の充実などの費用に充てる本税の主旨についての周知を継続しつつ、特別徴収義務者に対しては、円滑に申告及び納入できるよう、適切な助言・指導を行うとともに、特別徴収にかかる事務の負担に鑑み、事務交付金の交付を行ってまいります。
伊豆山土石流災害の被災地域において、警戒区域に設定されていた区域及びその周辺における社会資本の復旧・復興の進捗状況等を総合的に勘案し、旧警戒区域内に所在する土地家屋にかかる固定資産税及び都市計画税につきましては、令和7年度に引き続き減免措置を講じてまいります。
納税者の利便性が高い納税方法である口座振替をはじめ、地方税統一QRコードを活用した電子納付、いわゆるeLTAX(エルタックス)の利用を促進するため、納付案内リーフレットを各納税通知書に同封するなど、引き続き周知を図ってまいります。
市税滞納への対策につきましては、滞納事案に対する早期着手・早期完結を促進し、納期限内に納付している納税者に不公平が生じないよう、債権等の差押等、滞納整理の強化に取り組んでまいります。
(3) 観光経済部門
次に、観光経済部門についてです。
観光振興につきましては、一般財団法人熱海観光局、静岡県観光協会、美しい伊豆創造センター、市内観光関連団体と連携し実施してまいります。また、熱海駅周辺エリアにおける交通渋滞緩和対策として、令和7年度に混雑状況をライブ配信するカメラを設置したところですが、その他渋滞等が想定される場所へもライブカメラを追加設置してまいります。
ブルネイ・ダルサラーム国との交流につきましては、文化・教育・経済交流に繋がる活動を推進してまいります。
観光宿泊事業者への補助制度につきましては、令和8年度から観光施設バリアフリー化促進支援事業を新設するとともに、引き続き、宿泊業の経営力基盤強化事業及び外国人観光客等受入環境整備事業を実施してまいります。
熱海市の誘客の柱となるメディア・プロモーション事業につきましては、「地域おこし協力隊」によるSNS等を活用した熱海の魅力発信を図るとともに、ビジネス利用や交流促進を担う隊員により、幅広いプロモーション活動を行ってまいります。
産業振興につきましては、熱海市チャレンジ応援センター「A-supo(エーサポ)」により起業・創業を中心とした個別相談を実施してまいります。また、空き家・空き店舗を活用した地域課題解決に向け、リノベーションまちづくり構想を具現化する取組を推進するとともに、商店街の施設改修支援、住宅店舗リフォームの補助、テレワークの拡大による移住・就業支援の補助など、地域活性化を図るための施策を進めてまいります。さらに、コロナ禍で打撃を受けた事業者の事業活動を支援する経済対策貸付利子補給事業を継続実施します。
農林水産振興につきましては、農業の担い手支援を通じて農業基盤の整備を進めるとともに、適切な農道・林道の管理を行います。前回見直しから10年が経過した「農業振興地域整備計画」については、令和9年度の更新を目指し、8年度から基礎調査を実施します。また、森林環境譲与税を活用し、森林経営管理制度に係る森林整備を適切に実施します。併せて、ナラ枯れ被害対策や、有害鳥獣による被害防止のための資材購入支援を継続してまいります。
また、令和4年度から12年度までの漁港施設機能強化事業基本計画に基づき、漁港の被害低減、被災後の漁業活動及び本土との移動の早期復旧、緊急支援物資の陸揚げによる孤立解消を目的とした、波浪に対する機能強化を図るため、初島漁港第1防波堤の機能強化事業を引き続き実施するとともに、養殖漁業支援など漁業基盤の整備にも力を入れてまいります。
(4) 建設部門
次に、建設部門についてです。
人口減少・少子高齢化社会においても持続可能な都市経営を推進するため、都市機能や居住を誘導するための指針となる「熱海市立地適正化計画」について、改定作業を進めてまいります。
また、公共交通につきましては、「熱海市地域公共交通計画」に基づき、持続可能な公共交通ネットワークの形成と地域の移動手段を確保するため、関係者と連携して取り組んでまいります。
静岡、神奈川両県において検討が進んでいる伊豆湘南道路につきましては、交通渋滞の解消、観光産業の活性化、災害に強い広域道路ネットワークの構築のため、早期実現を目指し、伊豆湘南道路建設促進期成同盟会などを通じ、強力に国に働きかけを行ってまいります。
空家対策につきましては、令和7年度に策定する「熱海市空家等対策計画」に基づき取り組んでいくとともに、空家の利活用については、本市の住宅政策と一体として捉え、空家の利活用による本市への居住を推進するため取り組んでまいります。
道路や河川の適切な管理につきましては、施設の老朽化や近年激甚化する大雨災害からの被害を防止するため、昨年度から取り組んでいる外部への業務委託を活用し、速やかに道路・河川施設の機能回復を図ってまいります。
また、大規模災害時からの復旧においても重要な基礎データとなる地籍調査につきましても、事業規模の拡大や作業効率の向上及び業務改善を図るための「地籍調査事務支援システム」の導入を進めてまいります。
公園等の管理運営につきましては、小山臨海公園南熱海マリンホールの利用者の満足度向上を図るため、スポーツホールの照明のLED化に併せ、設置から35年が経過している床の全面改修、及び昨今の記録的な酷暑を凌ぐための冷暖房設備の整備を進めてまいります。令和10年度中の整備完了を目指し、8年度は改修工事の実施設計を行ってまいります。
また、令和7年度策定の「梅園リニューアル基本計画」に基づき、9年度から予定している梅園のリニューアルに向け、より具体的な「梅園リニューアル実施計画」を策定してまいります。
(5) 健康福祉部門
次に、健康福祉部門についてです。
本市の人口構造の特性につきましては、後期高齢者の割合及び単身高齢者世帯の割合が他の自治体と比較しても非常に多く、このことから、介護保険給付費も高い水準で推移しております。
このような状況を踏まえ、本市の介護保険給付事業の基礎となる「第10期熱海市介護保険事業計画」の策定を進め、安定した介護保険事業の実施に努めてまいります。
また、あらゆる市民の福祉向上の基本となる「第6次熱海市地域福祉計画」についても、様々な分野の市民に参画いただくことを前提に、その策定を進めてまいります。
介護予防・フレイル予防の観点から実施する高齢者支援施策につきましては、外出支援事業等のほか、介護予防・日常生活支援総合事業として行ってきた、自宅と地域サロンをつなぐ訪問型サービスD事業について、他の用事を併せて済ませることができるよう、法令等の範囲内において事業内容の拡充を図ってまいります。
次に社会福祉分野について、子育て支援の観点から、すでに事業開始している「在宅育児応援金」やひとり親家庭に対する支援などを継続実施していくとともに、「子育て支援駐車場無料事業」の対象を3歳から6歳までに拡大し、就学前児童すべてを対象としてまいります。
就学以降につきましては、共働き世帯等の増加により放課後児童クラブへの需要は増加、横ばいで推移しており、通所児童に対するクラブ運営及び施設の安全性確保のため、多賀っ子クラブにおける入退室管理システムの導入、及び第一小学校エンゼルクラブ床面改修、修繕事業を行ってまいります。
障がい者福祉につきましては、障がい者福祉の基本となる「第8期障がい福祉計画」等の策定を進めてまいります。
市内障がい3施設(心象めぐみ会、陽光の園、ふれあい作業所)の施設環境に対する支援とあわせて、通所者の減少等に伴う財政支援について実施、検討を進めてまいります。
また、障がい者に係る相談事業の充実を図るため、基幹相談支援センターを令和8年度末までに設置します。
生活保護業務につきましては、制度改正等に適正に対応するため、ケースワーク支援AIサービスシステムを導入し、適正かつ円滑な業務執行に努めてまいります。
健康づくりにつきましては、従業員の健康管理、健康づくりを推進するとともに、実施を希望する市内事業所を対象に血圧測定や個別相談など、生活習慣病予防対策の充実に努めてまいります。
感染症予防策として、乳幼児のRSウイルス感染と重症化を予防するため、妊娠28週から36週までの妊婦にワクチンを接種する事業を開始します。併せて、生後6カ月以上18歳以下の児童及び妊婦と同居の家族を対象に、インフルエンザワクチン接種費用の助成について検討を進めてまいります。さらに、75歳以上を対象に、従来のワクチンの4倍の抗原を含んだ高用量のインフルエンザワクチンが接種できる体制の構築についても、検討を進めてまいります。
母子保健につきましては、一般の身体的な健診とあわせて、行動面等について臨床心理士が診断を行い、子どもの個々の発達の特性を早期に把握し、子どもとその家族に必要な支援を繋げて就学以降の教育環境の充実を図るため、5歳児健康診査を実施してまいります。
また、国が進めるデジタルトランスフォーメーション政策の推進に伴い、電子版母子健康手帳の導入と合わせて、これまでの「ママフレ」ポータルサイトから、子育て支援制度などをプッシュ型で提供することや事務手続きの軽減などを可能とする新たな子育て支援アプリに変更します。
スポーツ振興につきましては、長い歴史と伝統がある「初島-熱海間団体競泳大会」について、市民の参加状況及び運営従事者の人員確保の困難さなどを踏まえ、令和9年度の第80回大会をもって区切りとし、その代替施策として水泳競技関連のスポーツイベントを始め、市民が手軽にスポーツに参加できる事業の検討を進めてまいります。また、熱海市出身や市内在住、在勤のアスリートが全国大会や世界レベルの大会に出場している状況を踏まえ、大会参加費用の軽減やスポーツ振興への寄与に対する奨励としての財政支援の拡充を検討してまいります。
(6) 危機管理部門
次に、危機管理部門についてです。
同時通報用無線設備のデジタル化経費につきましては、設備をアナログ方式からデジタル方式へ順次更新することにより、緊急放送等がより精度の高いものとなるよう取り組んでまいります。
指定避難所の環境改善につきましては、高齢者等が良好な状態で睡眠がとれるよう段ボールベッドや簡易ベッド、避難された方のプライバシーを確保するためのパーティション、暖房器具等の備品を整備するなど、避難所の生活において、少しでも精神的、体力的な負担を軽減できるよう、取組を進めてまいります。
また、今後も、地域の核である町内会や自主防災組織を通じた活動への支援を継続するとともに、防災講演会や防災出前講座などにより、行政と地域が意思疎通を図りながら、「自助」、「共助」の取組を支援してまいります。
併せて、市職員に対して、気象防災や災害対応に関する研修等を実施し、災害対応能力の向上を図ってまいります。
地域安全コミュニティ活動の継続と充実は、交通安全や犯罪防止に寄与するものであります。今後も、安全で安心して暮らせる地域社会の実現に努めるとともに、不幸にも被害に遭われた方々の支援にもしっかりと取り組んでまいります。
(7) 公営企業部門
次に、公営企業部門についてです。
公営企業四事業につきましては、ライフラインを担う事業として、効率的かつ安定的な事業運営に努め、安全・安心で豊かな市民生活の向上に寄与してまいります。
水道事業につきましては、引き続き、老朽化した基幹施設の大規模更新事業を進めてまいります。築造から60年を迎えた来宮浄水場の再整備事業につきましては、令和8年度は土木・建築工事の着工を予定しており、令和12年度の完成を目指してまいります。
また、令和8年度は段階的な水道料金改定の3年目となりますが、財源の確保とともに、老朽施設の更新を計画的に進め、安全な水を安定して供給できるよう努めてまいります。
駿豆水道につきましては、昨年8月に将来の水需要等を静岡県へ提出しました。今後、静岡県が予定している駿豆水道の施設更新計画、経営戦略及び料金見直しに注視し、引き続き、今後の受水量などについて三島市、函南町と協議を進めてまいります。
下水道事業につきましては、「ストックマネジメント計画」に基づき、老朽化した管路施設や浄水管理センター設備の更新工事を進めるとともに、近年発生頻度が増加している自然災害に対し、安全に汚水処理を継続するため、管路施設及び浄水管理センターの耐震化に取り組んでまいります。
また、全国的にも大きな問題となっております下水道の機能やサービスの水準をいかに確保していくかという課題に対しましては、官民連携の取組が、より一層重要となってまいります。その解決策の一つとして示されている新たな官民連携方式「ウォーターPPP」を本市に導入することについて、引き続き検討を進めてまいります。
温泉事業につきましては、当市の基幹産業を支える重要資源の一つでもある温泉を給湯しているため、その源泉や送配湯管等の老朽施設の更新を図り、安定して給湯できるよう努めてまいります。
初島漁業集落排水事業につきましては、施設の供用開始後19年を経過し、老朽化が進んでおります。また、離島の海岸沿いに設置されている特性から劣化も進んでおり、漁港及び周辺水域の良好な水質を維持するため、設備の機能保全を計画的に行ってまいります。
(8) 消防部門
次に、消防部門についてです。
消防力の充実強化につきましては、24時間365日停止することなく稼働し、119番緊急通報の受信や、消防指令業務を担う高機能消防指令システムの更新事業を令和8年度から2カ年計画で実施し、迅速かつ的確な指令業務と災害現場での活動を支援する最新技術と機能を実装するなど、機能の向上を図ってまいります。
救急体制につきましては、本市の令和7年中における救急出動件数は、 3,798件を記録し、救急業務を開始した昭和40年以降最多となりました。人口に対して高い水準で推移する救急需要に対し、救急救命士の育成に努め、メディカルコントロール協議会との連携のもと、救急業務の高度化推進へ引き続き取り組んでまいります。
火災予防につきましては、防火対象物への防火管理指導と予防査察を積極的に実施するとともに、違反是正の徹底を通じ、火災の予防に努めてまいります。また、近年頻発する大規模な林野火災を未然に防ぐため、火災予防広報活動の強化を図ってまいります。
消防力の要は人材です。消防職員の更なる知識、技術の向上のため、外部派遣研修を含めた研修を積極的に行うとともに、組織の服務規律の保持により一層努めてまいります。
消防団の充実強化につきましては、年々、消防団員が減少する中での災害の多発化・激甚化により、消防団の役割も多様化しており、消防団の出動報酬や年額報酬の処遇改善を図ってまいります。
今後も、地域防災の要である消防団との連携強化を図り、常備・非常備消防が一体となり、地域の安全・安心の確保に努めてまいります。
(9) 教育文化部門
次に、教育文化部門についてです。
学校教育に関して、令和8年度は主に「熱海2030ビジョン」に掲げられた教育関連費の無償化施策に取り組んでまいります。
まず、令和7年度から実施しております0歳児から2歳児までの保育料の無償化措置は、本年度も引き続き行ってまいります。これらの無償化施策の他、竣工から経年し老朽化が進む学校施設については、消防設備の改修を重点的に進めるなどの施設修繕等を行ってまいります。また、体育館への空調設備設置工事などの大規模工事の実施のみならず、照明器具のLED化も着実に進めてまいります。少子化が進行する中でも、児童・生徒が安心して学べる環境の整備を怠ることなく行ってまいります。
生涯学習分野において、埋蔵文化財関係では、「伊豆権現関連遺跡群等調査事業」として、国の指定史跡を視野に伊豆山地区の貴重な歴史文化資源である埋蔵文化財を引き続き調査してまいります。
起雲閣につきましては、市指定文化財の和館「麒麟」や洋館「玉姫・玉渓」の老朽化したエアコン設備を更新し、その魅力、来館満足度を向上させる取組を進めてまいります。また、その他の文化施設につきましても、指定管理者と連携しながら計画的なメンテナンスを実施してまいります。
図書館につきましては、利用者がより使いやすく、何度も訪れたくなるような図書館とするため、話題性のある特集や企画展示に取り組むとともに、魅力あるイベントや講演会を実施します。また、所蔵する郷土資料のデジタル化を推進し、レファレンスサービスの充実を図ります。
以上の施策をはじめ、教育大綱に位置付けた目標に向け、諸施策を着実に進めてまいります。
4.むすびに
令和8年度は、私が市長に就任してから20年という節目の年を迎えます。この20年間、様々な困難がありましたが、市民の皆様とともに歩み、熱海市の今日の発展があります。これからも、伊豆山被災地域の復旧・復興、地域経済の更なる活性化に力を尽くしてまいります。
また、市民福祉の向上を目指し、すべての世代が豊かで安心して暮らせる熱海の実現に向けた施策を着実に進めます。
市長としてのこれまでの経験を礎に、熱海市をさらに魅力的で活力ある、そして市民の皆様の満足度の高い「温泉リゾート」とすべく、全身全霊で取り組んでまいります。
議員各位、並びに市民の皆様におかれましては、特段のご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げ、私の施政方針といたします。
令和8年2月19日
熱海市長 齊 藤 栄
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