平成23年3月市議会定例会市長施政方針
1、はじめに
平成23年3月市議会定例会が開催されるにあたり、私の市政運営についての所信を述べさせていただくとともに、平成23年度の施策の概要を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
我が国は今、人類がかつて経験したことのない時代に突入したといわれています。それは、人口減、高齢化、そして財政難が同時に起こる社会です。このことに加え、国政の停滞、経済不況がさらに拍車をかけ、多くの国民が大きな将来の不安を抱えています。
先の三点は、熱海市にとっても深刻な課題です。私は、このまま熱海市が活力を失っていくことに大きな危機感を持っています。
しかしながら、同時に、熱海が持つ恵まれた地域資源、そして、熱海市民の知恵と力を結集できれば、我が国に先んじてこれらの課題を克服し、地方都市再生のトップランナーとして、時代の先頭を走ることができるものと信じています。
熱海市にとって平成23年度は、新しい時代を切り開く時です。現在、あらゆるものが縮小、収束に向かうという負に傾いた時代であるからこそ、10年先、そして50年先の姿を見据える必要があります。長期的な視点に立った施策の始動、展開に、全力を挙げて取り組んでまいります。
2、「第四次熱海市総合計画」
熱海の新たな成長・発展を目指して
明治の時代から、熱海は政府の要人や実業家、文人墨客が保養に訪れ、あるいは別荘を構えるなど、いわゆる「東京の奥座敷」として発展してきました。しかし、温泉観光地としての発展の大きな契機となったのは、昭和9年の丹那トンネルの開通でした。その後熱海は急速に発展、大衆化され、第二次世界大戦後の高度経済成長の中で、昭和40年代前半には宿泊客数、人口ともにピークとなり、まさに黄金期を迎えました。しかし、その後はどちらも減少を続け、今日に至っています。
熱海市は今、これまでとは異なる「新たな成長・発展のモデル」を創る時期にきている、私はそのような時代認識を持っています。平成23年度は、第四次熱海市総合計画の初年度にあたります。総合計画は、このような時代認識の下、今後10年間の市政運営の基本方針として、大きく三つの柱で策定いたしました。
第一は「豊かな暮らし」です。
生活の質を高めて、市民の暮らしやすさを追及するまちづくりが、熱海市の都市としての競争力を高めると考えます。このため、首都圏への近接性を活かしながら、「海・山・温泉」など豊かな自然に恵まれた環境の中で子を産み育て、健康で長生きできるまちとして、「住んでよかった」、「住んでみたい」と思う人々が増える環境を整えてまいります。
第二は「賑わいと癒し」です。
広域観光圏への取り組み、食・運動・医療を取り込んだ観光スタイルへの対応など、時代に合った「湯治場としての復活」を目指します。同時に、特産物のブランド化、食の流通環境の充実を進めるとともに、新たな産業の創出により、雇用の拡大を図ってまいります。
第三は「人と自然との共生」です。
熱海の風光明媚な自然を守り育てながら、温泉熱などの新エネルギーの活用による地球温暖化対策をすすめるとともに、生ごみの堆肥化などによる食の循環システムの構築など「循環型社会」の実現を目指してまいります。
以上のような基本方針により、市民が誇りを感じ、来遊客が感動を抱くことができる「誰もが輝く楽園都市 熱海」を目指してまいります。
3、「新政策ビジョン」
「財政再建」から「元気な経済」「豊かな暮らし」へ
市長就任以来の4年間、私は熱海市の財政再生団体への転落を避けるべく、「財政再建」を市政の最重要課題として、全力で取り組んでまいりました。市民そして産業界の皆様には我慢とご負担を強いることになりましたが、皆様のご理解とご協力により、「財政再建」に一定の成果をあげることができ、当面の財政危機は脱することができました。財政再建はまだ道半ばではありますが、全ての市民の皆様に改めて感謝を申し上げます。
また、この間、梅と桜をはじめ、熱海の地域資源に改めて着目するとともに、渚小公園や長浜海岸の整備など、熱海の宝を磨き、発展の種をまいてまいりました。これらの取り組みが、熱海の将来に光を放ち、花を咲かせ、実を結ぶものと確信しております。
熱海市は今、「新たなステージ」に立とうとしています。これまでの財政再建の取り組みの成果を受け、今後は徐々に「元気な経済」そして「豊かな暮らし」の実現に市政の重点を移してまいります。その具体的な内容が、昨年9月の市長選挙で市民の皆様にお示しした「新政策ビジョン」です。
「元気な経済」の実現のためには、まず基幹産業である観光業を振興させなければなりません。熱海の持つ地域資源を総動員しながら、熱海ブランドの再構築、広域観光圏の整備などにより、「長期滞在型の世界の保養地・熱海」を創ってまいります。
また、「豊かな暮らし」の実感のためには、少子高齢化対策を強化するとともに教育環境の充実を図り、都市基盤の整備や公共施設の耐震化などを進めてまいります。
4、平成23年度の施策の展開
私は、平成23年度は熱海市が「新たなステージ」に進む年だと考えます。平成23年度は19年度にスタートした「行財政改革プラン」の最終年度にあたります。また、既に述べたとおり、第四次熱海市総合計画の初年度であり、かつ、新政策ビジョンを本格的に実行に移す初年度でもあります。
以上のような位置付けを踏まえ、平成23年度は以下の事業を重点課題とし、取り組んでまいります。
(1)シティプロモーション
一つ目の重点課題は「シティプロモーション」です。熱海の魅力を全国に発信する「シティプロモーション」に、市役所が先頭に立って取り組んでまいります。特に、観光プロモーションとして、糸川沿いでのあたみ桜の植栽が完成する来春に照準を合わせ、「日本一早咲きの梅と桜が同時に楽しめる熱海」を全国にアピールしてまいります。
(2)建設プロジェクト
二つ目の重点課題は「建設プロジェクト」です。熱海駅前広場の整備に本格的に着手し、「熱海の新しい顔づくり」を図ってまいります。あわせて、文化会館の耐震補強工事に着手し、分庁化による庁舎整備を開始するとともに、熱海中学校と小嵐中学校の統合に向けた校舎改築の準備など、安全・安心のまちづくりの一環である公共施設の耐震化を進めてまいります。
(3)少子高齢化対策
三つ目の重点課題は「少子高齢化対策」です。子育て支援施策として、子ども医療費の無料化の拡大、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育の充実・拡大、「ファミリーサポートセンター」の新設、ヒブ・小児肺炎球菌ワクチンの接種を行います。また、高齢者施策として、「高齢者のためのサロン」の拡充、「地域見守りネットワーク」の創設を図ってまいります。
以上のような方針により編成した結果、平成23年度一般会計の予算規模は、178億1千万円で前年対比2.7%の増となり、特別会計、公営企業会計を合計いたしますと350億5千万余円で、前年対比2.9%の増となりました。
(4)各部門の主要施策
続きまして、平成23年度の主要施策について、部門毎に説明申し上げます。
総務 財政部門
効率的で開かれた行政運営
はじめに、総務、財政部門についてです。
平成23年度は、第四次熱海市総合計画の初年度となります。計画の前提となる目標人口については、多くのご意見をいただきました。交流人口や定住人口の増加は、一つの事業によって、また、行政のみの力によって成し得るものではないと考えます。各種団体を含む市民の皆様と産業、行政とが協力し、この三つの力を推進力に、様々な施策をもって熱海の個性や魅力を発信することが重要と考えます。そこで、「シティプロモーション」に積極的に取り組んでまいります。あわせて、産学官連携やパートナー企業との「温泉イノベーション」を引き続き推進し、低温度差発電システムの取り組みをはじめ、新しい産業の創出など、地域経済の活性化に努めてまいります。
また、地域主権改革が進められる中、自らの責任において決定し実行できる活気に満ちた地域社会づくりが求められています。そこで、専門的な知識を持った学識経験者を政策形成指導員として配置し、職員の政策力の向上、意識改革にも努め、諸施策を推進してまいります。
行財政改革につきましては、平成23年度をもって現行の行財政改革プランが終了することから、新たな「行政改革大綱」を作成し、行財政の改革を引き続き進めてまいります。あわせて、財源確保を第一の目的とした事業の選別ではなく、市民の皆様に十分に時間をかけて事業を理解したうえで評価していただく「熱海方式の事業仕分け」を実施いたします。
市役所の組織・機構につきましては、職員数の削減が進んだことから、平成24年度の見直しにむけて検討してまいります。
市民福祉部門
誰もが共に支えあう人にやさしい健やかなまちづくり
次に、市民福祉部門についてであります。
熱海市の合計特殊出生率は1.14、高齢化率は37%を超え、急速に進展する少子高齢化への対応は、緊急かつ重要な課題となっています。そこで、子育てしやすい環境づくりや、誰もが生きがいを持って健やかに暮らせるまちづくりについて、引き続き積極的に取り組んでまいります。
子育て支援につきましては、「放課後児童クラブ」の充実・拡大、子どもを預ける会員と預かる会員の相互援助活動制度である「ファミリーサポートセンター」の創設など、子育てしやすい環境づくりを強化してまいります。中央保育園の改築につきましては、早期実施に向け、着実に推進してまいります。また、子どもに対する医療費の助成につきましては、平成22年度に引き続き、対象範囲を入院、通院とも中学3年生までに引き上げ、完全無料化とし、制度の拡充を図ってまいります。
介護予防につきましては、高齢者の方のみならず若年層からの取り組みが重要であることから、平成23年度は対象年齢を広げ、「湯楽YOU楽(ゆらゆら)体操」の普及啓発などを引き続き推進するとともに、市内各地で行われている「高齢者のためのサロン」など、高齢者の引きこもりの防止や生きがい活動支援のより一層の拡充に努めてまいります。新たな事業としましては、一人暮らしの高齢者の方の認知症、うつ、閉じこもりを予防する事業を実施してまいります。また、今後も増え続けていく高齢者のために、見守り支援体制の強化を目指して、地域団体や関係団体が連携した「地域見守りネットワーク」の創設に取り組んでまいります。
健康づくり事業につきましては、基本である特定健診受診率の更なる向上に向けて、キャンペーンの実施や町内会等に積極的に説明に伺うなど、将来的な生活習慣病の予防に努めてまいります。また、防ぐことのできる疾病から市民の皆様を守るため、定期予防接種のほかに、要望が強かった中学生女子を対象とした子宮頸がんワクチンの接種を、乳幼児の髄膜炎等を予防するヒブ・小児肺炎球菌ワクチンの接種を、いずれも全額助成で実施してまいります。
国民健康保険事業につきましては、熱海市民に占める国民健康保険被保険者の割合が非常に高いこと、低所得者が比較的多いこと、さらに市内の厳しい経済状況等を踏まえて、国民健康保険税の平成23年度税率改正は、賦課限度額の引き上げのみにとどめました。しかしながら、国保財政は依然として大変厳しい状況にあるため、保険給付費の抑制に一定の効果が期待できる後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及について、関係機関の協力を得ながら、取り組んでまいります。
環境にかかる施策としましては、平成22年度から実施した可燃ごみの有料化に伴う事業活動の負担増を考慮し、特大サイズ75?の事業系直接搬入専用の指定ごみ袋の導入を図ってまいります。また、地球温暖化防止、環境保全の対策として、可燃ごみの減量化による焼却量の削減とともに、住宅用太陽光発電の導入費補助の充実などにより、二酸化炭素の排出量削減に努めてまいります。同時に、循環型社会を目指すなどの環境保全の総合的な施策の推進を図るため、平成24年度から33年度まで10年間の環境基本計画を策定し、将来の世代につなぐ環境にやさしいまちづくりの推進に努めてまいります。
観光経済部門
元気な経済と魅力ある観光まちづくり
観光施策につきましては、「熱海市観光基本計画」に基づき、着地型観光の推進による満足度の高い観光地づくりと、広域観光の仕組みづくりに取り組んでまいります。
着地型観光の推進につきましては、観光客はもとより市民や二地域居住の方々にも熱海の魅力や熱海ならではの楽しみ方を提供するとともに、まち歩きガイド養成講座の実施や観光まちづくり事業費補助金の交付、NPOや市民団体が自ら行う着地型観光の取り組みへの支援をしてまいります。
広域観光の推進につきましては、2年目を迎える「箱根・湯河原・熱海・あしがら観光圏」の枠組みで、広域観光フリーパスの造成及びメディカルツーリズムをはじめとしたニューツーリズムの推進に取り組みます。また、伊豆半島ジオパーク構想への参画、各種クルーズ船誘致による海上ルートの開拓及び国の成長戦略に位置づけられたIR(統合リゾート)誘致の可能性を検討してまいります。
観光プロモーションにつきましては、シティプロモーションの一翼を担うべく、観光事業をより効果的に実施するための調査・実施体制の整備に努めるとともに、「日本一早咲きの梅と桜を同時に楽しめる熱海」を全国に積極的に発信してまいります。
インバウンドの推進につきましては、外国人観光客に対する通訳サービスの導入により受け入れ体制を強化してまいります。
経済支援対策としましては、観光関連団体が実施する「あたみ温泉ふた旅キャンペーン」を引き続き支援し、宿泊者の増加を目指してまいります。
熱海梅園につきましては、本年から梅まつり期間の有料化を実施しております。この収益につきましては、園内の整備や維持管理経費、基金に充当し、熱海梅園にさらに磨きをかけてまいります。なお、草取りなどの軽微な作業につきましては、今後も市民の皆様にボランティア活動のご協力を頂き、年間を通じて良好な状態を維持してまいります。
さくらの名所散策路につきましては、懸案であった用地(約37,400平方メートル)の取得ができ事業再開の目途がつきました。平成23年度は事業に必要な残りの用地を取得し、工事着手に向けて事業を継続してまいります。
産業振興につきましては、「元気な経済」を目指し、市内の住宅・店舗等のリフォーム工事を後押しする助成を継続し、空き店舗を利用した新規事業参入者への支援制度を拡充するほか、「あたみランチ祭り」を支援するなど、商工飲食業の振興にも努めてまいります。また、「熱海ブランド」の再構築のため、地産地消の取り組みを支援するとともに、網代地域の産業振興の観点から、引き続き網代魚市場の活性化について検討を進め、基本計画策定に取り組んでまいります。
国際交流につきましては、中国広東省珠海市をはじめとする友好都市との交流を深め、国際親善とともに外国人観光客の誘致に努めてまいります。
起雲閣、澤田政廣記念美術館などの文化施設につきましては、それぞれの個性や魅力にさらに磨きをかけてまいります。空間の演出や企画展等の実施、また、接客レベルの向上に努め、リピーターの増加を図りながら、熱海のイメージアップや満足度の向上に努めてまいります。
建設部門
安全安心で魅力的なまちづくり
次に、建設部門についてです。
都市基盤整備は、市民そして多くの観光交流客の皆様に対して安全で快適な空間を提供する重要な施策です。
熱海駅前広場の整備事業は、駅舎の改築にあわせ平成23年度からの2カ年で行い、伊豆の玄関にふさわしい風格、賑わい、開放感の創出と利便性の向上を図ってまいります。
糸川遊歩道の整備事業は、街路樹を「あたみ桜」で統一する植栽計画に合わせて平成23年度の完成を目指し、熱海梅園との一体的な活用を進めてまいります。また、都松水口線の歩道拡幅工事についても平成23年度の完成を目指し、歩行者の安全と利便性の向上を図ってまいります。
市民生活に密着した生活道路につきましては、地域住民の皆様の意見を十分に反映した道路環境の整備を推進してまいります。また、広域交通網につきましては、伊豆縦貫自動車道や伊豆湘南道路など、交流促進に資する整備、検討を推進してまいります。
渚地区及び長浜地区のコースタルリゾート計画につきましては、「魅力的なまちづくり」という観点から推進し、海岸部の積極的な利活用に取り組むことで、熱海市と富士箱根伊豆エリアの「海の玄関」としての新たな魅力の創出に努めてまいります。
「熱海まちづくりビジョン」に示された市役所、湯前神社、銀座周辺の「熱海のへそ」につきましては、市民、NPO団体、観光産業等に携わる方々と学識経験者等のアドバイスも受けながら、その具現化に向けた取り組みを進めてまいります。
各地域の自発的なまちづくりへの取り組みに対しても支援を行い、また、安全・安心のまちづくり施策として、市民の皆様が行う地震対策を木造住宅耐震補強制度の活用により支援してまいります。
庁舎建設につきましては、市民をはじめ利用される皆様の安全を確保し、災害時の拠点としての機能を果たすためにも重要な課題であると強く認識しております。依然として厳しい財政状況の中ではありますが、平成23年度から文化会館の耐震補強工事、続いて消防庁舎の移転、仮庁舎の建設と遅滞なく事業を推進したいと考えております。なお、観光会館及び文化会館につきましては、本年3月末日をもって閉鎖させていだだきます。利用者の皆様には大変ご迷惑をお掛けしますが、マリンホール等、他の市施設の利用についてご理解とご協力をお願いいたします。
上下水道温泉部門
安定した企業経営を目指して
次に、上下水道温泉部門についてです。
財政健全化法における熱海市の公営企業会計の資金不足比率は、平成20年度決算では水道事業、温泉事業とも経営健全化基準を超えておりました。しかし、平成21年度決算では水道事業4.9%、温泉事業2.4%と経営健全化基準である20%を下回り、平成22年度決算見込みでは資金不足を解消する見込みであり、着実に改善しております。下水道事業につきましては、総務省の算定基準に基づき認められる解消可能資金不足額の考え方を取り入れ、資金不足比率は算定されません。しかし、17億円を超える実質資金不足額が依然として存在しております。今後とも、「行財政改革プラン」に計画する人員削減、また、財政計画書に基づく経費削減や収入確保、滞納処分の強化などを行ない、一日も早い経営健全化に取り組んでまいります。
水道事業につきましては、借入金の解消を含む経営健全化及び水の安定供給を図るために、平成23年7月徴収分から水道料金を平均4%値上げする料金改定を予定しております。市民の皆様には、当事業の運営に、引き続きご理解とご協力をお願いしてまいります。また、熱海市と湯河原町とで締結しております「地震等災害時の相互応援に関する協定」による千歳川連絡管布設工事費を計上し、災害時の相互協力を図ります。
静岡県営駿豆水道の受水量につきましては、基本水量の見直しを関係市町及び静岡県企業局と協議してまいります。
下水道事業につきましては、老朽化した施設の更新を進めるとともに、浄水管理センター長寿命化実施計画を策定し、環境と公共用水域の保全を目指してまいります。また、長期資金の利息を大幅に下げることで、平成22年度に引き続き減額相当分を遅れている面整備に充て、普及促進を進めてまいります。
温泉事業につきましては、市営温泉加入の促進を図り、収入の確保に努めてまいります。また、老朽化の激しい送配湯管を精査し布設替工事を実施してまいります。
教育部門
未来をひらく人づくり
次に教育部門についてです。
未来をひらく人づくりを推進するために「熱海市教育振興基本計画」に基づく諸施策の実施に取り組むとともに、誰もが生涯にわたって学ぶことのできる社会を目指して改定した「熱海市生涯学習推進大綱」、新しく策定する「熱海市スポーツ振興基本計画」に基づき、教育の総合的な推進に取り組んでまいります。
学校教育につきましては、学校事務職員と学習支援員を引き続き配置し、教員が一人ひとりの子どもとしっかりと向き合うことのできる環境の整備と特別支援教育の充実を図るとともに、武道の導入など新学習指導要領の円滑な実施に取り組んでまいります。また、子どもたちが夢を持ち、将来と向き合うきっかけとなる「夢先生」の事業を新たに展開してまいります。
熱海中学校と小嵐中学校の統合につきましては、統合準備委員会や、その専門部会での検討を踏まえ、両中学校間の交流事業に着手し、子どもたちの不安の軽減に取り組むとともに、平成24年度からの現熱海中学校校舎の改築に向け建設検討委員会での検討を実施設計に生かし、よりよい教育環境の構築に取り組んでまいります。
社会教育につきましては、学習機会や施設の充実、スポーツ活動の普及や指導者の育成などにより、市民の生涯にわたる活動のための環境づくりに努めるとともに、次代を担う人づくりのために、家庭の教育力向上に努めます。また、文化財の保護と活用を通した文化振興の一環として、伊豆山神社が所有する国指定重要文化財「男神立像(だんしんりゅうぞう)」の修復を行います。
図書館につきましては、学校への学習支援用貸出図書とともに、地域の文化と産業の振興に資する図書の充実に努めます。あわせて、市民の学習活動や問題解決の支援に努め、図書の貸し出しにとどまらない情報の拠点、人材育成の場としての役割を強化してまいります。
今後も、子どもたちや大人が夢を持ち、自ら学び、自ら考え、目標に向かってたくましく生きていくことができる生涯学習社会の実現に向け諸施策を展開し、学校・地域・家庭の連携のもと社会全体で教育に取り組む体制づくりを目指してまいります。
消防・防災部門
互いに支えあう 安全・安心なまちづくり
次に、消防・防災部門についてです。
誰もが安心して過ごすことができる「災害に強いまちづくり」とは、地域の防災力を高めることです。本市では、以前から、大規模地震や風水害などに対処するため、自主防災会、消防団、事業所などによる様々な活動により、充実した「安全・安心」対策が実施されてきました。しかしながら、急激な高齢化や社会環境の変化は、想定外の新たな危機事案を生み、社会不安が増していることから、従来の対策の見直しが必要であると言えます。目指すべきこれからの危機管理対策は、市はもとより「市民一人ひとり」の身近な取り組みと関係機関との更なる連携が、熱海市全体の安全の確保につながり、また、この取り組みにより、熱海を訪れる観光客の皆様にも安心して観光を楽しんでいただけるものと確信しております。
消防対策につきましては、福祉、防災並びに関係機関と協働し、高齢者対策をはじめとした総合的な安全対策を推進してまいります。また、迅速で的確な防御体制を確立し火災等による被害を軽減するために、中高層共同住宅の警防計画を策定します。消防力の強化事業としましては、老朽化した消防署、消防団第5分団の消防ポンプ自動車2台を更新配備いたします。消防水利の整備事業としましては、老朽化した44箇所の消火栓改良工事を行います。あわせて、消防職員の士気高揚と組織力強化を目的に、県消防学校等の外部研修機関へ職員を積極的に派遣してまいります。
防災対策につきましては、過去の地震被害の教訓を生かすため、引き続き家具の転倒防止や建物の耐震化などを推進するとともに、地域防災の要である自主防災会への支援をしてまいります。また、予想される東海地震や神奈川県西部の地震などの大規模地震への対応や風水害、感染症、食の安全、凶悪犯罪に伴う社会不安など、予測困難な危機事案に総合的かつ迅速に対処するための方針を定めた「熱海市危機管理指針」を策定いたします。
津波対策につきましては、津波シュミレーションの結果や過去の教訓に基づく「津波避難マニュアル」を策定し、津波対策を強化してまいります。
交通安全対策につきましては、熱海市交通安全計画の見直しを行い、高齢者や障害のある人、子どもなど、交通弱者へのきめ細かな対策を実施してまいります。
5 むすびに
第四次熱海市総合計画の策定にあたっては、本当に多くの市民の皆様のご協力をいただきました。熱心な議論の末に生まれたこの計画は、まさに「市民の英知の結晶」であります。今後は、この総合計画に描かれた将来都市像を実現すべく、行政、議会、そして市民の力を結集しなければなりません。
人口減、高齢化、財政難に苦しむ我が国の先行きは、大変不透明に思われます。しかしながら、こういう時代だからこそ、地方自治体において新たなフロンティア(新境地)を切り開いていかなければなりません。本市における少子高齢化の課題を克服し、また、「新たな成長・発展のモデル」を創り、地方都市再生の全国のモデルとなるべく、私は市長として、先頭に立って汗をかいてまいる所存です。
議員各位、そして市民の皆様におかれましては、新しい熱海の創造のため、特段のご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げ、私の施政方針といたします。
平成23年2月25日
熱海市長 齊藤 栄
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