平成22年3月市議会定例会市長施政方針

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ページ番号1002235  更新日 平成29年6月21日

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写真:壇上の市長

1.はじめに

平成22年3月市議会定例会が開催されるにあたり、私の市政運営についての所信と平成22年度の施策の概要を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
平成18年9月10日の市長選挙では、熱海市出身ではないこの私が当選をさせていただきました。このことは、市民の多くの皆様がこれまでのしがらみを断ち切り、新しい熱海の創造に向けてスタートを切ろうということを、勇気を持って決断されたためであると考えております。
私はこれまで、市民の皆様の「熱海を変えて欲しい」という大きな期待を受け止め、先人が培った市政の蓄積を最大限に尊重しながら、熱海の再生、そして市政の改革に全力で取り組んでまいりました。
私が市政運営を行う上で最も大切にしていることは「自治」という考えです。自らのまちを自らが治める、自分たちのまちを自分たちがつくっていく。このことが地方自治の原点であります。日本では長い間、中央集権の強い政治体制が続いてきましたが、成熟した我が国がさらに発展し、国民が幸せを享受するには、より国民に近いところで政治が展開されなければならない。私はそう考えます。
市政はまさに市民のためにあります。市政は決して市長、議員、そして市役所職員だけで成り立つものではありません。市民一人ひとりが、市政に参加し、意見を伝え、協力しなければ、本当の意味での市民のための市政は実現し得ないのです。その意味で、市民参画を今後ともより積極的に進めて行かなければなりません。
熱海には、美しい海と山、豊かな温泉、そして先人が残した文化や歴史などの多くの宝があります。そうした財産を活用しながら、議員、そして市民の皆様とともに、「熱海に住んで良かった」と思える「市民のための市政」そして「地方自治」を実現してまいります。

2.この4年間を振り返って

(1)行財政改革の着実な進展

私の任期も、残すところ半年余りとなりましたが、この4年間について、振り返ってみます。
私が市長に就任した平成18年9月当時、本市は財政破綻の危機に直面しておりました。市の貯金である基金は底をつき、それまでの財政運営を続けて行けば、夕張市のように市政運営が国の管理下に置かれる大きな危険性を持っていたのです。もし、国の管理下に置かれることになれば、それは本市が「自治」を失うことを意味するだけでなく、市民サービスの極端な低下を余儀なくされます。また当時、市役所自身がこの事実を共通認識として持っていませんでした。このことを受け、市民の皆様に市の財政状況を正確に知らせるとともに、市役所が一丸となってこの問題に取り組む決意を表すため、私は平成18年12月に「財政危機宣言」をいたしました。そして、平成19年度から平成23年度までの5年間で市の財政の健全化を図るべく「熱海市行財政改革プラン」を策定し、これまで、このプランの実行に市民の皆様のご理解とご協力をいただきながら、全力を注いでまいりました。
歳出の削減には、まず、「市役所自らが身を削る」ことが必要です。平成18年4月に634人であった職員数は、平成22年4月には527人となる見込みであり、約17%にあたる107人の職員削減となります。また、それまで高かった本市の人件費比率を踏まえ、私をはじめ、副市長、教育長及び職員の給与減額を実施し、平成18年度当初予算では約50億円であった職員給与費を、平成22年度では約11億円削減いたしました。
その上で、市民の皆様には、国民健康保険税、介護保険料、水道・下水道・温泉料金の値上げや粗大ごみ処理等の有料化についてお願いしてまいりました。
本市の財政を圧迫している大きな要因の一つに、下水道事業があります。過去の大規模な整備拡張のための投資による巨額の資金不足がその原因です。
このため、経営健全化を目指した改革を進め、支出の削減や市民の皆様に料金改定をお願いした結果などにより、資金不足額が平成18年度の約30億9千万円から平成21年度末には約18億8千万円へと減少する見込みです。
また、公営企業3会計(水道、下水道、温泉)の資金不足額の合計も、平成18年度の約40億9千万円が平成21年度末には約20億8千万円と半減する見込みです。
以上のような財政再建に対する様々な取り組みの結果、平成20年度決算における財政健全化法に基づく健全化判断比率は、いずれも基準を下回り、本市は財政破綻を免れました。しかしながら、下水道事業に依然として大きな資金不足があることなどから、今後とも行財政改革を着実に進めてまいります。

(2)熱海発展のための種まき

また、行財政改革と並行して、これまで熱海発展のための種まきもしっかりと行ってきており、新しい芽が着実に芽生えてきています。
観光を基幹産業とする本市にとって、魅力的で熱海らしさにあふれた安全・安心なまちづくりが急務です。まちづくりには長い時間と不断の努力を要しますが、それが実現した時には、本市の強みとなり、将来への大きな投資となります。
本市では平成19年度に、美しい景観を守り、「長期滞在型の世界の保養地」実現のために、「熱海市景観計画」と「熱海市観光基本計画」を策定しました。その後、熱海の美しい地形そして歴史、文化を活かした観光まちづくりの基本方針として「熱海まちづくりビジョン」を策定いたしました。
観光まちづくりを推進していくためには、市民をはじめとして本市にかかわるすべての方々が、一丸となって取り組むことが重要となります。
現在、市民主体のまち歩きガイドにより、熱海温泉玉手箱(オンたま)に代表される「まち歩き」を中心とした体験型の新しい観光スタイルが生まれ、定着しつつあります。
また、熱海梅園は、本市ゆかりの篤志家による多大なご寄附により、明治19年の開園以来、最大規模のリニューアル工事を行うことができました。梅園は今、より多くのお客様が訪れるようになり、かつての活気を取り戻しつつあります。
これまで、熱海梅園はもちろん、多くの来遊客が見込まれる長浜海岸や、美しいデザインと子どもたちが安全に遊べる広場を有する渚小公園と渚デッキの整備なども行ってきました。
今後も、厳しい財政状況の下ではありますが、ハード・ソフト両面で、熱海発展のための種まきをしっかり行ってまいります。

3.平成22年度の施策の展開

(1)積極的な景気対策により「市民の生活を守る」

さて、平成20年秋の世界的な金融不安の高まりとともに、世界規模の経済減速がはじまり、景気回復を外需に依存していた我が国も大きな経済危機に直面いたしました。外需関連の生産は急速に落ち込み、雇用情勢は悪化し、解雇が急増し社会問題となっています。最近では、大手航空会社が法的整理となり、再出発しました。また政府は、経済状況について、緩やかな回復に向かうが、デフレ状態は続くとしています。本市を取り巻く経済状況は、基幹産業である観光業において苦戦を強いられており、また、建設業、小売業、飲食業などからも、状況は大変厳しいという声を聞いております。
このような中、本市におきましては、国の緊急経済対策交付金制度(地域活性化・きめ細かな臨時交付金)を活用し、道路、市営住宅、学校、保育園など公共施設の修繕・改修事業等からなる総額8千9百十万円の補正予算を今議会に提出させていただきました。
また、平成22年度の予算編成にあたっては、行財政改革プランを基本に置きながらも、現下の厳しい市内の経済状況を踏まえ、積極的な景気対策などにより「市民の生活を守る」ことを第1の柱といたしました。
市単独の経済対策として、即効性のある「あたみ温泉ふた旅キャンペーン事業」に対する補助金や、住宅・店舗等リフォーム経費に対する補助金を盛り込み、地域経済の下支えをしっかりと行ってまいります。

(2)子育て・まちづくり・環境への重点配分

また、本市における現在の低い出生率、観光客や市民にとって魅力的な観光まちづくり事業の必要性、平成22年4月から始まる可燃ごみ処理の有料化などを踏まえ、子育て支援、まちづくり、環境対策分野における施策に重点を置いて予算を配分いたしました。
具体的には、子育て支援につきましては、「子ども医療費助成制度」による対象範囲の拡大や公立保育園の「年末保育」を実施します。まちづくりにつきましては、熱海まちづくりビジョンで示した「熱海のへそ」の具現化や熱海駅前広場の整備を実施します。環境対策につきましては、ごみ減量化やごみ処理の環境への負荷の低減、さらに、循環型社会の構築を目指し、温泉を利用した温度差発電や地産地消の推進について調査・研究を行ってまいります。
以上のような方針により編成した結果、平成22年度一般会計の予算規模は、173億5千万円で前年対比2.9%の増となり、特別会計、公営企業会計を合計いたしますと340億7千万余円で、前年度対比2.2%の増となりました。

(3)各部門の主要施策

以下各部門における平成22年度の主要施策について説明申し上げます。

総務・財政部門

機能的で、活力ある組織へ

はじめに、総務・財政部門についてであります。
平成22年度は、本市の上位計画である「熱海市総合計画」の第4次計画を策定いたします。今後も厳しい財政状況が予想される中、少子高齢化、減少する人口問題をはじめ多くの課題を抱えておりますが、令和2年度を目標年次とする熱海発展のための計画を策定してまいります。また、長引く不況や社会状況の変化に対応すべく、平成19年度から平成23年度までの行財政改革プランを見直し、総合計画の前期期間に合わせた計画を策定いたします。
「市役所の最大の資産は人材」との考えの下、職員の意識改革研修を、引き続き課長補佐職を対象に実施します。目標を職員と共有し、豊かな発想をより多く引き出しながら、職員の問題解決能力を高める努力をしてまいります。
職員のメンタル面につきましては、仕事内容や職場環境等になじめず、心身の変調を訴える職員が増える傾向にあることから、メンタルヘルス研修を実施し、一人ひとりの職員をサポートしてまいります。
「熱海ふるさとサポート寄附金事業」につきましては、歳入増の観点だけではなく、寄附をしていただいた皆様に、末永く熱海をサポートしていただけるよう「熱海ふるさとサポート倶楽部」を立ち上げました。今後は、積極的な事業展開を図り誘客等につなげてまいります。
なお、市の政策立案機能の強化のため設置した総合政策推進室は、歳入増加策、人口問題に加え、新エネルギー、食の循環システムといったテーマについても積極的に取り組んでまいります。

市民福祉部門

誰もが生き生きと生活できるまちづくり

次に、市民福祉部門についてであります。
少子高齢化への取り組みにつきましては、子育てしやすい環境づくりや、高齢の方々をはじめとした誰もがいつまでも健康で生きがいを持って暮らせるまちづくりが重要であると考えております。
子育て支援につきましては、保育環境の充実のため、中央保育園の整備について関係団体等の皆様と合意形成を図りながら、事業の着実な実施に努めてまいります。
また、保護者の方々が安心して就労できる環境づくりの一環として、公立保育園の「年末保育」を実施するとともに、子育て情報の発信や子育てボランティアの育成など、子育てしやすい環境づくりに取り組んでまいります。
児童に対する医療費助成につきましては、名称を「子ども医療費助成制度」と改め、対象範囲を小学校2年生までに引き上げ、制度の拡充を図ってまいります。
なお、国が進める「子ども手当」の支給につきましては、適切に対処してまいります。
健康の基礎となる食育につきましては、「熱海市食育推進計画」に基づき、『「食」は人を良くする!元気な熱海っ子を育てる!』をスローガンに、各目標の達成を図るため、具体的な活動に積極的に取り組んでまいります。
続いて、高齢化率が37%を超える本市では、介護予防事業の拡充が必要不可欠であります。このため、高齢の方が容易に外出できるよう足、腰を丈夫にする運動として、本市が独自に開発した「湯楽YOU楽(ゆらゆら)体操」の普及啓発活動を積極的に推進し、高齢者の誰もが、住み慣れたまちで健康に暮らせるよう取り組んでまいります。
また、新たな事業として、健康づくりなどの情報提供と運動機能の向上を図る「65歳を祝う同窓会」の実施や、認知症予防事業として五感を刺激することにより脳の活性化を促す「日本の四季を楽しむ教室」を実施してまいります。
なお、健康づくり事業の基本である特定健診の受診率を上げるため、平成21年度に実施した「生活習慣病予防対策支援事業」による未受診者を対象としたアンケートの分析結果に基づき、受診しやすい環境を整えてまいります。
国民健康保険事業につきましては、「市民の生活を守る」観点から平成22年度は税率改正を見送りました。税率改正につきましては、国民健康保険事業特別会計の健全化を目指し、過去2年間連続して実施してまいりましたが、現在の経済状況から市民に対する負担がさらに大きくなることなどを考慮したものであります。
地球温暖化対策につきましては、世界共通の課題であり、このためには、すべての人々がごみ減量化や、ごみ処理の環境への負荷の低減、さらには、新エネルギーの有効活用を図っていくことが重要であると考えます。
そこで本市におきましては、ごみ減量化の施策として、「生ごみ処理機」の家庭用、事業所用購入費助成を充実し、生ごみの減量化及び堆肥化を図ってまいります。また、資源ごみの集団回収につきましては、各種団体にご協力をお願いするとともに、事業の奨励金についても充実してまいります。
可燃ごみのひとつであるレジ袋の削減につきましては、マイバッグ運動を支援するとともに、レジ袋の有料化に向け、市民の皆様のご理解を得ながら、各事業者との話し合いを継続してまいります。
ごみ処理の有料化につきましては、議会並びに市民の皆様のご理解とご協力を得て、平成21年度には粗大ごみ処理の有料化を実施させていただき、平成22年度は可燃ごみ処理の有料化を実施させていただくものであります。なお、この有料化で得た収益につきましては、ごみ焼却場の改修経費や最終処分場の延命化経費、環境衛生施設等整備基金積立金などに充てさせていただきます。

観光経済部門

地域経済への即効性のある事業の組立て

次に、観光経済部門についてであります。
観光施策につきましては、「熱海市観光基本計画」に基づき、事業を展開してまいります。
特に観光基本計画で掲げた「全員参加のまちおこし」については、市民の皆様を対象とするおもてなしの実践などの各種講座や観光まちづくり補助金の交付により、さらに積極的な市民参画を促し、各地域の特性と魅力を観光振興に結びつける事業に取り組んでまいります。
「温泉中心主義」につきましては、日帰り入浴施設等の市内回遊を促す「湯めぐりスタンプラリー」を引き続き実施いたします。「もう一度行きたくなる街」、「歩いて楽しい温泉保養地」については、「まち歩きガイド養成講座」の開催やもみじ祭りの支援を進めてまいります。また、糸川遊歩道の「あたみ桜」の植栽に合わせ、新たに梅園の梅と連携した「さくら祭り」を開催し、「日本一早咲きの梅と桜が同時に楽しめる熱海」を積極的にPRしてまいります。
熱海梅園につきましては、有料化を前提とした施設整備やそのための諸準備を実施いたします。管理については、市民の皆様の清掃や草取り等のボランティア活動によるご協力をいただきながら、良好な状態を維持してまいります。
澤田政廣記念美術館につきましては、「梅園(うめぞの)橋(ばし)」が平成21年11月に完成し熱海梅園との回遊性が向上したことから、入館者の増加をより一層、図ってまいります。
起雲閣は、一年を通じ「起雲閣開館10周年記念」として、施設の特色を活かした企画展及びコンサート等を実施し、入館者の増加につなげてまいります。
観光圏につきましては、平成22年2月に箱根・湯河原・熱海・あしがら観光圏推進協議会が発足したことから、当該市町や関係団体と協働して広域観光圏の形成に努め、滞在型の観光地づくりを推進するとともに、特に海外からの誘客活動等を積極的に展開してまいります。
さらに、関東圏のプレスを対象としたキャラバンやツアーなどにより情報発信を行い、国内外に本市のPRを行ってまいります。
経済対策事業としましては、観光関連団体が実施する「春季花火大会」や「あたみ温泉ふた旅キャンペーン」を支援し、観光交流人口の増加を目指してまいります。
この他、市内の住宅・店舗等のリフォーム工事を後押しする助成制度及び空き店舗を利用した新規事業参入者への支援制度を創設し、商工業や商店街の振興を図ります。
なお、地産地消の推進と流通市場の再生の観点から、網代魚市場の活性化について調査・研究に取り組みます。
さらに、平成22年3月末をもって三島職業安定所熱海分室が廃止になることから、就労・雇用等に係る市民の皆様の利便を確保するため、求人・求職の紹介・斡旋業務等を実施する「熱海市ふるさとハローワーク」を開設いたします。

建設部門

安全安心で魅力的なまちづくり

次に、建設部門についてであります。
都市基盤整備は、市民そして多くの観光交流客の皆様に対して安全で快適な空間を提供する重要な施策です。
熱海駅舎の改築にあわせ、伊豆半島の玄関口にふさわしい風格と賑わいと開放感のある駅前広場整備を行うとともに、公共交通の利便性向上に取り組みます。
市民生活に密着した生活道路につきましては、地域住民の皆様の意見を十分に反映した道路環境の整備を推進してまいります。
広域交通網の整備につきましては、伊豆縦貫自動車道や伊豆湘南道路など交流促進に資する交通網の整備・検討を推進してまいります。
「魅力的なまちづくり」という観点から、渚地区及び長浜地区のコースタルリゾート計画の推進と海岸部の積極的な利活用に取り組むことで、富士箱根伊豆エリアの「海の玄関口」として新たな魅力を創出してまいります。
「熱海まちづくりビジョン」に示された、市役所・湯前神社・銀座周辺の「熱海のへそ」につきましては、市民、NPO団体、観光産業等に携わる方々と学識経験者等のアドバイスも受けながら、その具現化に向け調査・研究いたします。
地域住民の皆様の自発的なまちづくりへの取り組みに対しましては、積極的に支援を行ってまいります。
安全安心なまちづくり施策につきましては、市民生活を守る地震対策の一環である木造住宅耐震補強制度の活用を図ってまいります。
庁舎建設につきましては、財政上の制約から分庁化を基本に進めてまいります。消防庁舎及び文化会館については、耐震化事業に取り組むとともに、耐震補強の出来ない建物の対応策については、その方針をできるだけ早くお示ししてまいります。

上下水道温泉部門

安定した企業経営を目指して

次に、上下水道温泉部門についてであります。
財政健全化法における本市の公営企業会計の資金不足比率は、平成20年度決算では、水道事業、温泉事業とも経営健全化基準を超えておりました。しかし、平成21年度決算見込みでは水道事業9.2%、温泉事業5.6%と経営健全化基準である20%を下回る見込みであり、着実に改善しております。
下水道事業につきましては、総務省の算定基準に基づき認められる解消可能資金不足額の考え方を取り入れ、資金不足比率は算定されません。しかしながら、18億円を超える実質資金不足額が依然として存在しております。
今後とも、「行財政改革プラン」に計画する人員削減、また、財政計画書に基づく経費削減や収入確保、滞納処分の強化などを行ない、一日も早い経営健全化に取り組んでまいります。
水道事業につきましては、平成31年度までの老朽施設更新計画のうち、林ヶ久保配水池の代替として建設を予定しております梅園配水池(仮称)にかかる建設用地を取得してまいります。また、本市と湯河原町で締結しております「地震等災害時の相互応援に関する協定」による千歳川連絡管実施設計委託料を計上し、災害時の相互協力を図ります。
静岡県営駿豆水道の受水量につきましては、基本水量の見直しを関係市町と協議し、静岡県企業局に対し要望してまいります。
下水道事業につきましては、老朽化した施設の更新を進めるとともに、浄水管理センター及び下水道管路の長寿命化実施計画を策定いたします。また、一般会計から下水道事業会計へ長期に貸し付けている資金の利息を大幅に下げることにより、この減額相当分の1千9百万円を遅れている面整備の充実に充て、経済対策を図るとともに普及促進を進めてまいります。
温泉事業につきましては、市営温泉加入の促進を図り、収入の確保に努めてまいります。また、老朽化の激しい送配湯管を精査し布設替えを実施してまいります。

教育部門

未来をひらく人づくり 「熱海市教育振興基本計画」の推進

次に教育部門についてであります。
教育に関する総合的、体系的な計画として、本市が初めて策定する「熱海市教育振興基本計画」に基づき、教育の総合的な推進に市民の皆様のご理解を得ながら取り組んでまいります。
学校教育につきましては、学校事務職員と学習支援員を増員し、教員が一人ひとりの子どもに向き合う環境整備と特別支援教育のさらなる充実を図るとともに、新学習指導要領の円滑な実施のための体制整備をしてまいります。また、学校施設耐震化の課題をはじめ、今後も少子化傾向が進む状況下において、新たな教育環境の課題にも積極的に取り組み、子どもを取り巻く大きな環境の変化に対応してまいります。
次に社会教育につきましては、教育の原点である家庭教育の振興を図るため、関係機関との連携強化、学習機会や相談体制の拡充に取り組んでまいります。また、循環型生涯学習社会の基盤整備を推進していくため、人材バンクの有効な活用策を促進し、市内の有能な人材の発掘と活用を図ってまいります。図書館につきましては、「子育て支援コーナー」を設置し、図書の充実を図り、子育て家庭の応援をしてまいります。
また、社会教育の課題として、家庭及び地域住民等がそれぞれの役割と責任を自覚しつつ、地域全体で教育に取り組む体制づくりを目指す必要があることから、地域の実情に応じ、自主的に行う学校・家庭・地域の連携協力のための様々な取り組みを支援してまいります。さらに、生涯を通じて楽しむ事のできるスポーツ環境を整備し、社会全体の教育力の向上を図ってまいります。
今後も、「熱海らしい特色のある教育」の諸施策を展開し、子どもたちや大人が夢を持ち、自ら学び、自ら考え、目標に向かってたくましく生きていくことができる生涯学習社会を実現してまいります。

消防・防災部門

市民と守る安全なまちづくり

次に、消防・防災部門についてであります。
地域の安全・安心を確保するため、地域の防災力を向上させることは、市民の皆様はもちろんのこと、熱海を訪れる観光客にとって非常に重要であると考えております。今後予想される「東海地震」、「神奈川県西部の地震」や風水害への対応など、常に危機管理意識をもって臨んでまいります。そのため、大規模地震に対する備えや消防防災の充実を図ってまいります。
具体的には、警防技術等の強化として、火災等による被害の軽減を目的に、迅速で的確な防御体制確立のため、住宅密集地の警防計画を策定いたします。
消防水利の整備事業としては、老朽化した46箇所の消火栓改良工事を行うとともに、新泉支所に耐震性防火水槽を整備いたします。
また、消防職員の士気高揚と組織力強化を目的に、県消防学校等の外部研修機関へ職員を積極的に派遣してまいります。
防災対策としましては、市民の皆様への情報伝達に大きな役割を果たしている同報無線の制御卓及び子局2箇所を更新整備いたします。
平成21年8月に発生した「駿河湾の地震」では、本市も含め広い範囲で強い揺れを記録しました。このことにより、家具転倒防止の重要性が改めて認識され、「住宅用火災警報器相談窓口」に加え「家具転倒防止金具取り付け相談窓口」を開設し、金具の取り付けについても行ってまいります。
また、全国でもその活動が評価される本市の自主防災組織でありますが、今後も、地域防災力強化のためハード・ソフト両面から、さらなる支援をしてまいります。
なお、平成22年度は第10分団の消防ポンプ自動車を更新配備いたします。

4.むすびに

私は、平成18年9月の市議会定例会の所信表明の中で、今後の私の市政の基本的政策として「効率的で開かれた市役所づくり」、「歩いて楽しい観光地づくり」、「住みたくなるまちづくり」の3点を挙げました。
市長就任以来、これらの基本的政策の実現に向けて全力で取り組んでまいりましたが、「財政再建」を最優先課題として進める中で、特に「住みたくなるまちづくり」については、必ずしも十分な施策を打ち出すことが出来ませんでした。これまでの行財政改革の取り組みが一定の成果を上げる中で、今後は、徐々に、「住みたくなるまちづくり」に市政の重点を置いてまいりたいと考えております。
新年度におきましても、全身全霊を傾け、市政を運営してまいる所存であります。議員各位そして市民の皆様におかれましては、どうか特段のご理解とご協力をいただきますよう心からお願いして私の施政方針といたします。

平成22年3月1日

熱海市長 齊藤 栄

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