令和8年9月市議会定例会齊藤市長所信表明演説

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ページ番号1019120  更新日 令和8年10月2日

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R8所信表明

はじめに

このたび私は、市民の皆様の力強いご支援をいただき、引き続き市政を担うこととなりました。この市議会本会議において、改めて皆様にご挨拶出来ることを大変光栄に感じております。

熱海市長に就任し、初めてとなる平成18年9月の市議会定例会における所信表明の場で、私はこう申し上げました。「市民の皆様の『熱海を変えて欲しい』という大きな期待をしっかりと受け止めさせていただきます。」「まちが発展すれば、個人の生活も必ず良くなります。」この決意は、この20年間、一瞬たりとも揺らいだことはありません。

今回の熱海市長選挙の結果は、齊藤市政五期20年に対する市民の皆様の評価の現れであると感じております。同時に、市民の皆様の大きな期待を受け、市長としてその責任の重さに、改めて身の引き締まる思いであります。

今後とも初心を忘れず、熱海市の更なる発展と市民生活の豊かさをより確かなものにしていくことが、市民の皆様から再び負託をいただいた私の責務であると感じております。

齊藤市政の五期20年

令和7年度の宿泊者数は、コロナ禍前の水準を3.4%上回る約320万人となり、宿泊客数を入湯税ベースで集計するようになった平成13年度以降で最も高い水準となりました。しかしながら、五期20年の間、財政危機宣言、東日本大震災、新型コロナウイルスの感染拡大、そして伊豆山土石流災害に見舞われるなど大変厳しい時期もあり、熱海の「再生」は決して平たんな道のりではありませんでした。

まず、市長就任後、最初に取り組んだのは財政再建です。最大の懸案であった公営企業会計の約41億円の不良債務を10年かけて全額解消しました。

観光振興については、中長期的に観光財源を着実に確保するため、温泉観光地としては初となる宿泊税の導入と、観光政策を機動的に進めるため、観光地経営の視点に立った舵取り役としての熱海観光局(DMO)の設立を実現しました。

教育と福祉の充実については、県内でいち早く子どもたちの保育料や給食費の完全無償化をはじめ、学校等の大規模修繕等を進めるなどを積極的に推進してきました。

また公共料金の値上げなど痛みを伴う改革にも、常に先頭に立ち、住民の皆様への説明責任をしっかりと果たしながら、全力で取り組んでまいりました。

今、熱海は官民一体となった「オール熱海」での取り組みにより、賑わいを取り戻し、多くの投資が集まる温泉観光地として全国から注目を集めるようになりました。

次のステージとして目指すべきは、これまでの「温泉観光地」から、より高いレベルである、世界に通用する「温泉リゾート熱海」の実現です。

「温泉リゾート熱海」の実現にあたっては、国内外からの来遊客や消費額を増加させることにとどまらず、熱海に住む人と働く人の双方がより幸せを感じられるようにすることが必要です。熱海に住まう人々が観光振興の恩恵や充実した福祉サービスなど、生活の豊かさをしっかり享受できること。熱海に働く人々は所得が向上し、熱海で働くことに魅力と将来性を感じられることを目指します。

そのためには、これまでの施策の単なる延長ではなく、熱海の新たな青写真を描くこと、私は「リ・デザイン熱海」、熱海を再設計することが必要だと考えます。

今後とも、市民の皆様と共に、全身全霊、自らのすべてをかけて、市民そして観光客の満足度が高い「温泉リゾート熱海」の実現という新たな目標に向け、取り組んでまいります。

世界一流の「温泉リゾート熱海」づくり

世界に通用する「温泉リゾート熱海」づくりのためには、何が必要なのか。

私は質の高い、世界で一流と言われる「温泉リゾート」の実現のために、熱海の豊かな観光資源と宿泊税を主な財源とする熱海観光局(DMO)を活用しながら、必要な基盤整備と観光振興施策を強力に推進することが必要だと考えます。

具体的な主要施策として、来宮駅前の再整備、新交通システムの導入、伊豆湘南道路の整備、国際会議の誘致、ユニバーサルツーリズムの推進などに取り組みます。

まず、熱海駅周辺のオーバーツーリズム対策として、来宮駅前の再整備に取り組みます。具体的には、現在の来の宮駐車場を立体化し、大型バス等が駐車可能となる新たなバスターミナルの整備を行います。来宮駅周辺には、来宮神社や梅園といった人気の観光スポットがあることから、新たな交通結節点となるバスターミナルを整備することにより、現在熱海駅に集中する来遊客の分散化を図り、同時に来宮駅周辺地域の活性化を進めます。

新交通システムの導入については、熱海市の抱える地形的・構造的な交通課題の解決を目指し、日本初の自走式ロープウェイ方式の導入を検討します。道路上空等を活用した立体的な交通手段とすることで、来遊客の回遊性の向上、住民の皆様の坂道移動の負担軽減などを図ります。

伊豆湘南道路の整備については、伊豆湘南道路が有事の際に東名、新東名の代替として、第3東名としての役割を担うとともに、交通渋滞の解消、観光産業の活性化、災害に強い広域道路ネットワークの形成を目的として、早期実現を目指し、伊豆湘南道路建設促進期成同盟会などを通じ、国・県に対して強力に働きかけを行ってまいります。

国際会議の誘致については、「世界レジャー会議2030」の誘致を目指します。世界レジャー会議は、文化、健康、福祉、スポーツ、教育、地域づくり、ウェルビーイングなど、人々の暮らしに広く関わる国際会議です。世界レジャー会議の誘致を通じて、「温泉リゾート熱海」を世界に広く発信するとともに、インバウンド対応に必要な環境整備を進めます。

ユニバーサルツーリズムの推進については、すべての人々が安心して楽しむことができる観光地をつくることが重要なテーマであり、熱海市は誰にでも優しい温泉リゾートを目指して、情報アクセシビリティの向上やバリアフリー施設の整備などに積極的に取り組んでまいります。

日本一の「住まうまち熱海」づくり

「温泉リゾート熱海」は、単に来遊客に対して世界に通用することを目指しているものではありません。同時に、市民の誰もが観光振興による恩恵を実感するとともに、手厚い子育て支援や、健康・長寿・生活の豊かさを享受できる、日本一の「住まうまち熱海」をつくってまいります。

具体的な主要施策として、日本でナンバーワンの子育て支援、高齢者の外出支援と健康度アップ、障がい者福祉の充実、ファミリー・単身者向け住宅の整備促進、市民ホール等を含む市庁舎の再編整備などに取り組みます。

日本でナンバーワンの子育て支援については、熱海市は県内でもいち早く保育料の完全無償化を実施したことをはじめとして、在宅育児応援金の支給、質の高い幼保連携型認定こども園の整備、児童発達支援センターの開設、小中学校等の給食費の完全無償化など、ライフステージに合わせた子ども・子育て支援に積極的に取り組んでまいりました。これからも、切れ目のない子ども・子育て支援を推進し、日本一子育てしやすいまち熱海を目指します。

高齢者の外出支援と健康度アップについては、熱海市はこの10月から70歳以上の高齢者の皆様を対象に「いきいきポイント事業」及び「いきいき外出支援事業」を開始します。高齢者の介護予防、フレイル予防、地域社会への参加を促進することで、心身の健康につなげ、生活満足度を高められる環境づくりを進めます。引き続き、高齢者の皆様に対して、生活の質を向上させる施策に取り組んでまいります。

障がい者福祉の充実については、障がいのある方が、自ら望む住み慣れた地域で、引き続き安心して暮らしていけるように、身近な場所で相談できる基幹相談支援センターを設置します。また、就労継続支援事業所や生活介護事業所の環境整備にも、引き続き取り組んでまいります。

ファミリー・単身者向け住宅の整備促進については、市内の従業員寮の不足を背景に、令和8年度にまちづくり条例の一部改正を行いました。今後も住環境の整備について、ファミリー・単身者向け住宅の整備促進など、多様な住まい方が出来るまちの実現に向け、引き続き取り組んでまいります。

市民ホール等を含む市庁舎の再編整備については、令和8年度に、老朽化している市庁舎等に加え、図書館と市民ホールを対象とした基礎調査を行い、複数の再編計画案を作成したうえで、今後の具体的な再編方針を決定していきます。庁舎等の再編整備により、市民の皆様の利便性の向上と職員の職場環境の改善を目指します。

伊豆山の創造的復興

伊豆山土石流災害は、熱海市にとって未曾有の大災害となり、28名の尊い命と多くの財産が失われました。

発災から5年がたった今、これまで最優先で取り組んできた被災地域の復旧・復興につきましては、消防団第4分団詰所や伊豆山コミュニティ防災センターが既に供用を開始しました。また、被災地域において、整備された道路を最大限に活用していただけるよう、当初計画を変更した暫定整備案を作成し、令和9年3月の完成に向け、関係機関と連携して整備を進めているところです。

こうした、土石流災害からの復旧・復興に加え、今後、安全・安心なまちづくりを基本とし、伊豆山の豊かな歴史・文化を生かしながら、人口と賑わいを呼ぶ「創造的復興」に取り組む必要があります。

まずは、安全・安心なまちづくりです。既に、新設砂防堰堤の整備や逢初川の河川改修がなされるなど、最大限の防災対策が進んでいると考えますが、世界的な気候変動などにより、過去に経験したことのない気象状況が今後現れることは否定できません。避難路の確保、避難所の環境整備、災害情報の伝達手段の確保など、ハードの整備とともに、防災・避難訓練の実施、救命講習の実施、小学生親子を対象に防災教育を行う消防寺子屋の実施など、住民の皆さんの防災意識を常に高めていく必要があります。

また、令和9年3月までに、道路・河川等のひととおりの復旧・復興事業の完成を目標としていますが、用地買収が進んだ部分の道路整備や情報通信網の整備など、住民の皆様にとって必要なインフラの整備を引き続き行ってまいります。

そして、人口と賑わいを呼ぶまちづくりです。伊豆山には長い歴史と貴重な文化的資産が数多く存在します。これらの地域資源を掘り起こし、磨き上げ、地域の活性化に活用していきます。また、伊豆山神社から十国峠を結ぶトレイルコースを整備するなどして来遊客を増やし、伊豆山全体を活性化させる中で、被災地域に人口と賑わいを呼び込んでまいります。

さらに、二度と同様の災害を起こさないために、必要な法令改正などを行っていかなければならないと考えています。伊豆山土石流災害をきっかけとして、いわゆる盛土規制法が制定され、全国一律で盛土に対する規制が整備されました。まずはこの法律をしっかり運用していくことが重要と考えます。その上で、違法な開発行為の常時点検と予防の観点から、森林法、砂防法、廃棄物処理法をより的確に機能させることが必要です。そのために必要な法令改正や運用指針の改訂などについて、引き続き国や県に働きかけを行ってまいります。

これら伊豆山の「創造的復興」に取り組むにあたっては、すでに策定されている「伊豆山復興基本計画」及び「伊豆山復興まちづくり計画」に基づきながら、また、地域の皆様と共に考えながら、進めてまいります。

おわりに

私は、4年前の令和4年9月の市議会定例会での所信表明において、「熱海市は今、伊豆山土石流災害とコロナ禍という2つの大きな課題を抱え、戦後最も厳しい状況にある」と申し上げました。

あれから4年、伊豆山の被災地域は、令和5年9月に警戒区域が解除され、これまでに復旧・復興事業が着実に進んできております。また、令和7年度の宿泊客数はコロナ禍前を上回る水準にまでなりました。この4年の間に、熱海がここまで回復できたのは、官と民が一体となり、「オール熱海」で必死に取り組んできた結果であります。

熱海が次に目指すべきは、これまでの「温泉観光地」から、世界に通用する「温泉リゾート熱海」への進化です。

私は、選挙戦で訴えた「リ・デザイン熱海」~熱海の再設計~を旗印に、市民そして観光客の満足度が高い「温泉リゾート熱海」の実現に向け、全身全霊で取り組んでまいる所存です。

議員各位、そして市民の皆様におかれましては、何とぞご理解とご協力をいただきますことをよろしくお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

令和8年9月29日

熱海市長 齊藤 栄

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